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2003/10/15掲載
ドイツ、初の世界一に
 
先月よりアメリカで行われていたFIFA女子W杯は、グループリーグで
日本も戦ったドイツが初の王座に就いた。

ドイツは準決勝で優勝候補ナンバーワンと目されたアメリカと対戦。
1点を先行したものの、アメリカの底力に防戦一方となった展開を凌ぎ、
ロスタイムに追加点を奪っての勝利。地元アメリカの熱狂的な応援を敵に回しながらの決勝進出は、実に劇的なものだった。

そして、迎えたファイナル。2度目の決勝戦に駒を進めたドイツの相手は、欧州王座をも争った宿敵、スウェーデン。リュングベリ、スベンションという強力な2トップを擁したチームは、平均身長こそドイツに劣るものの、フィジカル面でも強く、スピーディーな展開で前半はドイツを押し込めた。

その要因となったのが、両チームがボールをつなぐ形の違い。
スウェーデンが比較的スペースにボールを出していたため、ワンタッチでつなぐ場面も多かったのに対し、ドイツは足元へのボールを要求することが多く、深く身体に入ったボールを一度こねてから次を探していた。
このため、ドイツはボールを受けた時点で相手のプレッシャーを受けている選手がほとんどとなり、第3の動きをする選手へとつながらない。

また、お互いに4-4-2の布陣でシステム的には噛み合うはずなのだが、リズムの作り方が決定的に異なっていたため、ボール・ウォッチャーとなる選手がドイツには多かった。それが現れたのが、前半41分。スウェーデンの先制ゴール。裏に抜け出したリュングベリに合わせたスベンションのダイレクトパスをドイツが許したのも、その前の段階で人を捕まえきれないままに後追いする状態を改善出来なかったせいであった。

だが、この先取点に目覚めたドイツは、後半からがらりとスタイルを変えて来る。徹底的にDFの裏を狙い、2列目からダイレクトパスを多用してスペースへ出すボールを増やすと、プリンツのパスからマイナートが飛び出してゴール。早々とタイスコアに戻すと、その後も右サイドを軸に再三に渡って同じ形からチャンスをつかむが、スウェーデンGKヨンソンの攻守もあって逆転には至らない。

一転して劣勢となってきたスウェーデンは、両サイドのMFを同時に代えてプレスを強める。これで、一時的にドイツの猛攻は沈静化したものの、お互いに決定的な場面をモノにできない。中盤から前線へ供給されるパスの精度が落ちて来ると、ドイツは高さをいかしたパワープレーにシフト。とはいえ、個人の能力で切り裂けるスウェーデンの2トップが、ドイツに十分な数のセカンドボールを拾う選手を置かせない。

結局、正規の90分間で決着のつかなかった試合は、延長戦へ突入。
そして前半8分、ドイツがFKのチャンスをつかむと、後半終了間際に入ってきたDFクウェンツアーのヘッドがGKの頭上を越えて、ゴールに飛び込み、ドイツがゴールデン・ゴールによる勝利を収めた。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはドイツの主将ウィーグマンが選ばれたが、再三に渡って素晴らしいセーブを連発していたスウェーデンのGKヨンソンの活躍も特筆すべきものであったことを書き留めておきたい。

得点王には通算7ゴールを挙げたドイツのプリンツが輝き、アシスト王も
ドイツのマイナートが獲得。ダントツの優勝候補といわれたアメリカにはさすがに苦戦したものの、そのアメリカでプレーする選手も数多く、苦手意識も払拭されていたドイツの強さは、今大会で際立っていた。

ドイツの総得点は25で、失点はわずかに4と、実にプラス21もの得失点差を記録。1試合当たりの得点率では、4.2という驚異的な数字を残した。2位のアメリカが15得点、5失点で得失点差がプラス10。1試合当たりの得点率で2.5であったことを考えれば、いかにドイツが攻守にバランスのとれたチームであったのかが判る。グループリーグのアルゼンチン戦で6ゴールを奪っただけでなく、準々決勝のロシア戦でも7ゴールを挙げた破壊的な攻撃力は、どこも止めることはできなかった。

得点王となったプリンツだけでなく、ガーレフレクスとマイナートの2人も
揃って4ゴールを挙げており、この3人だけで15ゴール。アメリカの総得点に並んでしまうほどだった。大会のベスト11にもウィーグマンら4人が選ばれたのは当然といえよう。

<大会ベスト11>
GK スカリー(アメリカ)
DF フーパー(カナダ)、ミナト(ドイツ)、ジュリアナ(ブラジル)、
ノーネン(カナダ)
MF ファウディ(アメリカ)、リリー(アメリカ)、ウィーグマン(ドイツ)
FW ハム(アメリカ)、プリンツ(ドイツ)、マイナート(ドイツ)

ただ、このベスト11。準優勝のスウェーデンから一人も選ばれていないという不思議な結果となっており、いささか残念な気もする。

実力的には3位に終わったアメリカが未だにトップにあると言う人もいる
だろうが、エース、ミア・ハムらの中心選手がいずれもキャリアの下り坂に差し掛かっており、世代交代も急務となるだろう。

欧州の強豪ノルウェーがブラジルにグループ1位を譲り、アジアの4カ国
の中で中国しかグルプリーグを突破出来なかったように女子の勢力図も少しずつ変化してきた。北欧を中心に180センチを超える選手がかなり増えてきたのも、新たな時代の流れといえるだろうし、選手の大型化がより男子に近い戦術を採用することへと拍車をかけるに違いない。
技術レベルも格段に向上し、パワーとスピードも男子以上に右肩上がりの状態にあることは間違いない。

しかし、世界初のプロリーグ誕生の地となったアメリカでも、その存続が
暗礁に乗り上げたことで、世界的にも女子サッカーの未来が明るいとは言い難い。ホスト国が望む結果とはならなかったが、今大会であれだけ多くの観衆が集まったのも、女子サッカーの先進国アメリカが引き受けたからこそ。世界のシーンをリードする国が再びサッカーという競技に向き合う機会をつくったという面でも、アメリカが代替開催となって良かったと言えるのではないだろうか。

<2003 FIFA女子W杯 結果>
グループA)1位 米国、2位 スウェーデン、3位 北朝鮮、4位 ナイジェリア
グループB)1位 ブラジル、2位 ノルウェー、3位 フランス、4位 韓国
グループC)1位 ドイツ、2位 カナダ、3位日本、4位 アルゼンチン
グループD)1位 中国、2位 ロシア、3位 ガーナ、4位 オーストラリア

準々決勝:アメリカ 1-0 ノルウェー、スウェーデン 2-1 ブラジル
ドイツ 7-1 ロシア、カナダ 1-0 中国
準決勝:ドイツ 3-0 アメリカ、スウェーデン 2-1 カナダ
3位決定戦:アメリカ 3-1 カナダ
決勝戦:ドイツ 2v-1 スウェーデン


著者:らいてぃー 

 
 
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