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2004/01/01掲載
高校サッカー2日目(西が丘会場)
 
高校選手権2日目。スポーツ科学センター建設のため、近い将来の取り壊しが取り沙汰されている西が丘サッカー場では、Jリーガーの卵が対決するカードが組まれていた。

鵬翔(宮崎)には、鹿島に進むU18代表MF増田と、札幌に行くCB上田常がおり、対する星稜(石川)も名古屋入りの決まっている長身FW豊田を擁している。

星稜も鵬翔もフォーメーションは4-4-2。星稜は左MFの白井が攻撃の起点となり、その高いテクニックで相手を掻き回す。県予選のMVPにも選ばれたチャンスメイカーがいることで、星稜は圧倒的に左サイド偏重の攻撃を展開していく。そして、エース豊田の強さを活かすために早め早めにクロスを入れ、ゴールに近いところで勝負させようとする。

とはいえ、先手を奪ったのは、序盤から攻勢に出た星稜ではなかった。
11分、鵬翔の右MF興梠が持ち前の突破力をいかして逆サイドのネットに突き刺さるゴールを挙げ、鵬翔がまずリードを奪う。鵬翔は、中盤より前の選手が非常に流動的な動きを見せ、目まぐるしくポジションが入れ替わる。増田のパスセンスを活かして、FW黒木や興梠が交互に裏のスペースへ抜け出し、FW上田幸のポストプレーを使いながら厚みのある攻撃を仕掛けて行く。

これには、星稜も激しい当たりの守備で応戦。スピード感があり、パスの届く距離や肉体的な強さもある両チームの対戦は、高校レベルでは非常にレベルの高いものだった。

後半、1点をリードされて折り返した星稜は、右MFの田宮を下げて怪我でスタメン外れていた本来のレギュラーMF表を入れて来る。県予選の決勝でハットトリックを決めた表は、いきなり惜しいシュートを放ち、流れを引き寄せる。そして2分、FW橋本が倒されてPKを得る。キッカーはボランチの本田。本田は右ポストに当たるキックをしたものの、ボールはゴールの中へと転がり、同点に追いつく。

星稜はその後もペースを握ったままで、表のシュートがクロスバーに当たるなど攻勢を強めて行く。13分、星稜の白井が左サイドからDFを巧みにかわしてシュート。
これが右ポストに当たってゴールライン近くを転がるが、結局ゴールイン。
これで2-1となり、星稜が逆転に成功する。

一方の鵬翔は、左サイドに流れた黒木が入れたボールに興梠が合わせ、バーの上を越えるシュートを放った以外は、これといったチャンスも作れず。逆転されたことで、鵬翔はその前の激しい接触プレーで足を痛めていた黒木を諦め、FW堀田を入れる。
すると、25分。右サイドから持ち込んだボランチ東が中にいた興梠へパス。興梠が素早い切り返しを入れて、DFを外したところで左足を振り抜くと、強烈なシュートがゴール左に決まり、鵬翔が2-2の同点に追いつく。

それでも星稜は、リードをしていた時間帯も決して受け身になっていた訳ではない。白井のクロスに表がヘディングシュート。これはゴール左へわずかに外れたものの、両サイドのMFを軸に果敢な仕掛けを見せて一歩も引かない戦いをしていた。

30分には、運動量が落ちてきたチャンスメイカー白井を下げるという意外な交代をしたが、勝利の女神を手放すことにはならなかった。34分。オーバーラップした右サイドバック清水がインサイドでクロスを入れる。誰にも合わないかと思ったボールは、ゴールの左スミへと飛び込み、蹴った本人も驚くような勝ち越しゴールとなる。

結局、星稜が残り時間も鵬翔の猛攻を凌ぎ切り、今季の2大大会でいずれも全国ベスト8の成績を収めていた強豪を寄り切った。

星稜の2点目が微妙だったことや、ファウルに対する基準が曖昧で多くのカードが出たことから、鵬翔の松崎監督は主審にも激しく抗議していたものの、指揮官の闘志は勝利に結びつかなかった。

注目の増田は、非凡なパスセンスを見せてはいたが、運動量も少なく周りのレベルの高さもあってか、それほど完全な司令塔然としたプレーをみせることはなかった。
星稜の豊田も、鵬翔の上田常に動きを封じられ、前を向いてプレーする時間が少なく、決定機に絡む場面もごく僅かであった。

Jリーグ内定の選手たちは、どこの学校でも特に厳しいマークを受けていくこととなる。独特の雰囲気のある選手権の緒戦で、才能を存分に見せることは非常に難しいことなのだろう。

全国高校選手権 2日目(12月31日、西が丘)
星稜(石川) 3(0-1/3-1)2 鵬翔(宮崎)
得点者:星稜−本田(PK)、白井、清水
鵬翔−興梠 2

星稜(カッコ内は交代選手)
橋本 豊田
(三木)
白井
(青山)
  田宮
(表)
  本田 小西  
今村  込山  清水
  新田雅  
鵬翔(カッコ内は交代選手)
上田幸 黒木
(堀田→中村)
増田   興梠
  木下  
児玉
(宮路)
上田常 安田 入船
  片岡  

かなりレベルが高い2チームが熱戦を繰り広げた後の第2試合は、優勝経験もある常連校、愛媛の南宇和と長野の松商学園が対戦。第1試合に出た2チームに比べると、個々の選手も線が細く、全体的にパワーが落ちる印象の両チーム。

まず、開始早々に松商学園のエース高橋が左から一人で持ち込み、右ポストを叩くシュートを放って幕を開ける。とはいえ、序盤はお互いにミスが目立ち、パスもうまくつながらない。

20分を過ぎてようやくリズムをつかんだのは、松商学園だった。ショートパス主体で小刻みにサイドでボールをつなぎ、絶対的な信頼を置く高橋に託す。ポスト役の2年生FW宇治も、つぶれ役となっては高橋がフィニッシュに持ち込めるように献身的なプレーを見せる。

対する南宇和は、高校生には珍しい3バックを採用。MF久徳の正確なクロスボールを主な武器として、深い位置から縦に早い攻撃を仕掛けようとするが、中盤から前のプレスが甘く、ボールを奪えない。

DF陣は松商学園の高橋に振り回され、2人がかりでも止められない。高橋は前半ロスタイムにも一人で抜け出し、フィニッシュまで持ち込むが、均衡を破れぬまま折り返す。

後半、その松商学園のエース高橋がいきなり爆発する。開始わずか1分。右から持ち込んで豪快なシュートを決め、松商学園が先制する。

しかし、その直後の2分。今度は南宇和の中尾がゴール前で混戦気味の中からシュート。松商学園のGK今井が正面にはじいたリバウンドを中平が押し込み、南宇和があっという間に1-1の同点とする。

これで、活気づいた南宇和は、縦一本のパスから岡原が抜け出すが、これはGKにぶつけてしまう。しかし、両サイドを使っての展開が出来るようになった南宇和は、徐々にペースをつかみ出す。後半20分過ぎには、怪我でスタメンから外れていたエース格の和泉を投入し、逆転弾を狙う。

しかしながら、攻撃面で両サイドが活発になってくると、松商学園がサイドのスペースを巧みに突き始め、パスセンスにも非常に優れた高橋が長短のパスを使い分けてチャンスメイクを担う。両サイドバックの平井や吉池にもフィニッシュのチャンスが訪れ、南宇和の守備をこじ開けようと奮闘した。

だが、 松商学園は肝心の高橋が足をひきずる状態となってしまい、攻撃の核が微妙に狂い出す。

そして、35分。南宇和は、左サイドからの縦パスに抜け出した中島がゴール近くまで持ち込み、ほとんど角度のないところからシュート。ボールはGKと左ポストの間を抜けてネットを揺すり、2-1。残り時間も少なくなったところで南宇和が貴重な逆転弾を奪った。

これで松商学園の高橋は、時間稼ぎに入った南宇和から何とかボールを奪おうと、足をひきずりながらも自らDFラインまで追いかける執念を見せたが、一人では何とも出来ず。無情のタイップアップを告げるホイッスルを聞くこととなった。

とはいえ、この試合で誰よりも光っていたのは、間違いなく高橋。抜群のスキルに確実なポストワーク、非凡なパスセンス、そして1人や2人は引きずりながらでもゴールを目指せるその強さは、ピッチの中でひときわ際立っていた。

怪我がなかったなら、どれだけ素晴らしいプレーを見せてくれたのかと残念な気がするほどであった。172センチ63キロと身体はそれ程大きくないものの、間違いなく全国でも
トップクラスのタレントだろう。Jリーグに進むという話も聞かないが、数多く訪れていたスカウトの目は十分にひいたことだろうし、大会関係者が優秀選手に強く推すことも確実ではないだろうか。

チームが完全なワンマンチームだったことで涙を飲んだが、傑出した才能はどこからでも現われるという見本のような選手だった。
こうした意外な発見も、高校選手権の魅力である。

南宇和(愛媛)2(0-0/2-1)1 松商学園(長野)
得点者:南宇和−中平、中島
松商学園−高橋

南宇和(カッコ内は交代選手)
岡原
(和泉→玉林)
   中島   
久徳 中平 中尾
(山本)
仁井 石村
大塚 鎌倉 岡田
  菊池  
松商学園(カッコ内は交代選手)
宇治 諏訪部
牧野
(城立)
  高橋
  當銀 石倉  
吉池 成田 田辺 平井
  今井  


著者:らいてぃー 

 
 
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