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2004/01/04掲載
戴冠への試練(市船−青森山田戦リポ)
 
2回戦で両チームが奪ったゴールは、合わせて12。全国の中でも屈指の爆発力を持つチーム同士の対戦は、3回戦で実現してしまうのが惜しいと思えたほどだった。

秋に行われた全日本ユースの準々決勝では、5-1と大勝して青森山田を寄せ付けなかった市立船橋だが、やはり集大成となる大会では、そんな簡単に勝利をつかめるものではなかった。

市船は、緒戦を出場停止となっていた主将の増嶋が戻り、ハットトリックを決めた高橋をトップへ移した布陣でスタート。対する青森山田は、スピード豊かなプレーでDFを切り裂く三沢と小沢が頻繁にポジションを入れ替えながら、3トップ気味のシフトを引く。
鈴木と加藤、2人のボランチがトップ下に入る小寺のサポートに入り、DFをこじ開けようと人数をかける。

最初のチャンスは、市船。5分、左からMF猪股がクロスを入れる。中で受けたカレンが胸でワントラップした後、下がりながら左足でシュートを放つが、これはゴール右へそれて行く。

それから20分くらいまでは、お互いに決定機を作ることが出来ず、深い位置まで攻め込む回数も少ないまま。両チームの主将が束ねるDFラインもほとんど崩されることなく、前で勝負する積極的な守備が狭い地域での攻防を生んで行く。

市船は右MFの米田が好調で、積極的な仕掛けから攻撃にアクセントをつけていた。
22分、その米田からクロスが入り、ファーサイドにいたカレンが頭で合わせる。
だが、ボールはクロスバーを叩き、リバウンドにすかさず反応した鈴木のシュートもバーの上を大きく越えて行った。

市船が決定的な場面を逸すると、今度は青森山田にも惜しいプレーが生まれる。
左サイドでスローインを入れた三沢が、自分に戻されたボールを中へ持ち込む。すると、市船のGK佐藤がすっと前に出た瞬間を見逃さずに、ロングシュートを放つ。
大きく弧を描いたボールは、GKの頭を越えて市船ゴールへ吸い込まれそうになるが、慌てて下がりジャンプした佐藤が何とか右手でボールをはたき、難を逃れる。
一瞬のスキを逃さず、空いたゴールに向かう弾道を計算して打たれた三沢のシュートは、実に見事なものだった。

スコアレスのまま後半に突入。地元の大声援に押された市船が、攻勢を強めて行く。
開始直後の2分、再び米田のクロスにカレンが、フリーで合わせたが、これはGK川本の正面。9分には、CKからCB渡邉が強烈なヘディングシュートを見舞ったものの、枠をとらえるには至らず。

セットプレーを中心にゴールに迫る頻度を高めて行く市船に対し、青森山田は市船のDFラインを崩す攻撃がほとんど出来ない。押し込まれる時間が長くなるにつれ、中盤の選手が下がり過ぎて前線との距離を広げてしまう。それでも、GK川本やCBで主将の大河内を軸とした守りは、集中力を保ち続けて必死にしのぐ。

ゴールの遠い市船は、徐々にロングボールを多用して来るが、2トップの足が止まったことで、セカンドボールも拾えず、サイドのスペースに起点を作って仕掛けることも難しくなって来る。抜群のスタミナを持つボランチの根本が、広い範囲でサポートに奔走し、
途中交代で入った中村が出し手に回って攻撃にかける人数を増やすが、疲れの見える攻撃陣に頼ることは、すでに無理な状況となっていた。

そこで、リ・スタートからのチャンスを得ようと、根本や鈴木、米田らが、取り敢えずCKを獲得するために、サイドの深い位置に侵入するプレーを繰り返す。

それが実ったのが、残り時間も2分となった78分の左CK。キッカーは鈴木。
一旦はニアサイドでクリアされたが、ボールは中央へ流れる。市船がヘッドで前に入れると、これを青森山田が再びクリア。しかし、ボールはほぼ真上に上がってしまい、落ちてきたところを米田が再度ゴール前に頭で送ると、走り込んだ石井が跳びながら右足を伸ばしてコンタクト。ボールはGK川本の右横を抜けてゴールに飛び込み、土壇場で市船が勝利を決定づける1点をもぎ取った。

PK戦突入目前での劇的なゴールに、地元のスタンドも総立ちに。中学時代には全国大会で得点王にもなったDFの一撃で市船が、苦しい試合をものにした。

高校レベルでは組織的な守備を完成させるチームが少なく、無得点の時間が長いことと、決定力不足が同義語となり易いが、堅固な防御体制を形成したチーム同士の対戦は、それとは全く別物。狭いスペースでの主導権争いは、実に興味深い内容をもたらしていた。

当然、敗れたとはいえ、青森山田の健闘は賞賛に値するもの。ポスト役の森木をうまく使って三沢、小沢、小寺と突破力のあるアタッカーが次々に勝負を挑むスタイルは、スピード豊かなで非常に魅力的だった。守備陣を見ても、GK川本は広い守備範囲で多くのファインセーブを連発。仙台に進むCB大河内も、前評判通りの強さを示していた。

ただ、個々の技術は荒削りで、パスやトラップのズレが市船と比べて大きかったことが、倍以上のシュートを打たれる結果をつくってしまった。また、前日の盛岡商戦でも終了間際にゴールを奪われたように、試合が終わるまで集中を切らさず、勝ちに向かう姿勢という面でも一歩及ばなかったのは事実として残る。

そして、辛勝で準々決勝に駒を進めた市船は、疲れのせいか、動きが今一つだった。
スピードある青森山田の攻撃陣を相手にして、CB増嶋は足をつり、カレンも終盤にボールに寄って行けない場面が目立った。

次の試合は、1日の休みが入るとはいえ、スタミナに自信を持つ鹿実。ここまでの3試合はもちろん、県予選を含めれば8試合連続して無失点に抑えてきた守備陣は、実に強固。試合によって4バックと3バックを使い分け、3回戦の近大附戦では相手に一本のシュートも許さないという完璧な守りを見せた。FW永嶺は、帝京三戦でハットトリックを決めた上に、3試合連続得点中。現在のところ6ゴールで得点王レースのトップを走る。
市船は、準々決勝でもう一つ大きな山を迎えることになろう。

昨年の大会でも3回戦まで快勝を続けた後、準々決勝の野洲戦では非常に苦戦を強いられた市船。優勝するためには、産みの苦しみが必ず1つや2つ出て来るもの。
ほとんど崩れることのなかった佐藤、増嶋、渡邉を軸にした守備陣は、安定感抜群であり、先に苦しい試合を乗り越えたことで、以後の階段を昇るのが軽やかになる可能性も高いだろう。

市船の目標は明確。国見にインターハイでの借りを返し、返還したばかりの優勝旗を持ち帰ること。個々のハイレベルな技量と、伝統となった緻密な組織が合わさった今年のチームも、戴冠するのに十分な力を秘めていることは間違いない。

1月3日 柏の葉公園総合競技場
市立船橋(千葉) 1(0-0/1-0)0 青森山田(青森)
得点者:市立船橋−石井

市立船橋(カッコ内は交代選手)
カレン 高橋
(田中)
猪股
(中村)
鈴木 根本 米田
石井 渡邊 増嶋 寺田
  佐藤  
青森山田(カッコ内は交代選手)
小沢 森木
三沢 鈴木 加藤 小寺
(レオナルド)
平田 上田 大河内 仲谷
  川本  


著者:らいてぃー 

 
 
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