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準決勝雑感
         
 
2004/01/07掲載
平成15年度高校選手権、準決勝雑感
 
遂に次代のモンスターが爆発した。3年連続で国立の大舞台に戻ってきた今大会最高のストライカー、平山相太。2年連続で準決勝まで駒を進めた滝川二を相手に、昨年の丸岡戦以来となるハットトリックを決めて、2年連続での大会得点王を確定。もう破られることはないかと思われていた、北嶋秀朗(市船)が持つ大会通算16ゴールという大記録にも、あと1つと迫った。

これで国見は、4年連続の決勝進出という偉業を成し遂げ、同時に4年連続でチームから得点王を輩出するという栄誉も手中にした。

MF新井、FW岡崎といった昨年の経験者に加え、神戸に内定しているDF河本、U18代表候補で190センチの大型GK上杉を擁する滝川第二は、決してレベルの低いチームではなかった。
黒田監督は、毎年のように高い技術をベースにしたボールをつなげるチームをつくっており、今年もその例に漏れることはなかった。

しかし、選手も監督も幾らか場慣れしているはずのチームでさえ、まるで寄せ付けない強さを国見は、というより平山は持っていた。
開始僅か6分。中央右寄りでボールを受けた平山は、DFを一人かわして、右足を振り抜く。早過ぎる先制弾に、滝川二のゲームプランは完全に崩された。

前半は何とか1点だけに抑えたものの、後半立ち上がりにも右からのクロスの折り返しを国見の主将、兵藤に決められて追加点を許すと、張っていた糸もきれてしまったかのようだった。

平山は、滝川二のGK上杉からDFへ出された不用意なパスをかっさらい、3-0と突き放して勝負を決めると、続いて、左からのクロスを巧みにトラップした後、ディフェンダーを素早くかわす。今度は、左足で強烈な一撃を突き刺してハットトリックを達成。格の違いを見せ付けた。

これで今大会7ゴール目。鹿実の永嶺を抜き、単独での大会得点王を確実とした他、1999年に石黒(富山一)がつくった9ゴールという最多記録と、北嶋の通算得点記録を同時に塗りかえるチャンスを残した。

対戦相手に決まったのは、初出場の伏兵、筑陽学園。初陣の学校が決勝まで進むのは、17年ぶりの快挙であり、そのときは国見と東海大一が初出場同士で決勝でぶつかっている。
(*サントス、大嶽、沢登らを擁した東海大一が優勝。)

これまで久保(横浜FM)や久藤(セ大阪)などのJリーガーを生み出し、フジタで活躍した吉浦監督が率いるチームは、東福岡、柳川、東海大五などのライバルを押しのけて来ただけに質も高い。
札幌に進むMF桑原とFW西野を核に小気味良い仕掛けを真骨頂とする
攻撃陣を、湘南に行くDF青柳とGKで主将の柳らがしっかりとバックアップ。今大会に入っても、成長を続けてきた。

準決勝は、全国上位の常連校、鹿実のペースで始まった試合だった。
しかし、主将のMF岩元や伊野波ら主力選手数人を出場停止や怪我で欠く鹿実は、今一つ波に乗り切れない状態が続く。
20分も過ぎると、筑陽の堅さも取れて来て、形勢は五分となる。

そして、37分。強いボールが蹴られた右CKから、ボランチの片原がニアサイドで頭を突き出し、1-0。筑陽が先手を奪った。

筑陽は、西野を起点に良い攻撃が出来るようになり、ボールも回るよう
になっていた。上背こそないがGK柳も、広い範囲をカバーしてDFラインを高く保つのに貢献。クロスへの対応も安定していた。

それでも、数々の伝統を築いてきた名門が簡単に倒せる訳ではない。
後半に入ると、鹿実は前半の4-4-2から3-4-3の3トップに変更して前線を厚くする。すると、ピッチをワイドに使った鹿実の攻撃が威力を増し、支配率を高めた中から、早めにクロスが入るようになる。
長身のDF陣も、セットプレーを中心に積極的な攻撃参加を見せ、ゴールへの執念を感じさせる。

後半28分、鹿実が右から入れたクロスを筑陽GK柳がパンチングミス。
落ちてきたボールを冷静に鹿実FW山下が決めて、試合を振り出しに戻す。

鹿実は永嶺と山下の2トップが驚異的なスタミナで前線を掻き回し、何とか追加点を奪うとするが、勝利の女神は気まぐれだった。

残り時間も5分を切ったところで、筑陽がペナルティエリアからは少し遠い位置でFKを得る。中央より左寄りの位置。右足の精度に自信を持つ筑陽のエース桑原には、得意とするところだった。

渾身の力を込めて蹴られたボールは、スピードも十分に柔らかな弧を描いて見事にゴール左スミへ飛び込む。2-1。筑陽が土壇場で決勝点をもぎ取り、日本一への挑戦状を手にした。

殊勲のゴールを決めた筑陽の桑原は、神戸に内定しながらプロ入りする前に交通事故でこの世を去った先輩、野口直也が「力をくれた気がする。」と語った。

野口が、そして桑原が着けていた背番号7は、筑陽のエースナンバー。
現チームのマネージャーを務める妹、野口香織さんが見守る中、本当に天からの力が働いたのではないかと思われるほどに鮮烈な一撃だった。

筑陽の快進撃は、留まることを知らないが、戦後初となる4年連続の決勝進出を果たした国見の壁は、余りにも厚く大きい。

近年、国見が優勝した際には、本命と言われた相手が決勝まで上がって来ず、岐阜工、草津東といったダークホースを簡単に蹴散らしている。筑陽は無失点に抑えた試合がないように、決して鉄壁の守備を誇るとは言い難い。超高校級の名に相応しい活躍を見せる平山を封じ、東福岡以来5年ぶりに福岡へ優勝旗を持ち帰ることは出来るのか。

個々の強さでは、筑陽の劣勢は免れない。それでも、新鮮な驚きを与えた勢いに勝利へのひたむきさが加わった時、再び信じられないような
結果が生まれないとは限らないはず。

決勝戦が九州対決となり、昨年ほどの超満員になるとは考えにくいが、圧倒的なパワーを全面に押し出す横綱に大会随一の成長を見せるチームがどう挑むのか。U20代表のFW平山相太ばかりに注目が集まるこの大会。フィナーレも平山による平山のための試合となるのか。
焦点は、この一点だけに注がれる訳ではない。

1/7(水) 高校選手権 準決勝 結果
筑陽学園 2(1-0/1-1)1 鹿児島実
得点者:筑陽−片原(前半37分)、桑原(後半38分)
鹿実−山下(後半28分)

国見 4(1-0/3-0)0 滝川第二
得点者:国見−平山3、兵藤

著者:らいてぃー 

 
 
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