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| 2004/01/13掲載 |
| 【国見、圧巻の王座奪回】 |
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決勝のカードが決まった時、あるいは前年覇者の市立船橋が敗れた時点で、国見が圧勝して優勝旗を掲げることを予想した者も多かったはず。主力不在の国見とは言え、前回の対戦では2-1で勝っている筑陽学園には、戦う前から負ける気持ちも、優勝へのプレッシャーもなかった。
それでも、ここまでの大差で決着が付くと思った人は、皆無だったのではないだろうか。6点差を獲っての完封勝利はもちろん、シュート数も36対10と正に破壊的。過去に類を見ないほどの強烈な印象を残し、国見は帝京と並ぶ戦後最多タイ記録となる6度目の栄冠を手中にした。
試合開始直後から、国見は筑陽学園を圧倒。1分もたたないうちに渡辺が最初のシュートを浴びせ、12分にはもうゴールをこじ開けていた。右サイドで縦パスで受けたFW兵藤が、2人の敵がいた間を割って入り、クロスを上げるとファーサイドに走り込んだ右アウトサイドの川口が、右足でダイレクトに合わせる。浮き球を見事に抑えたシュートがゴール右隅に決まり、国見は早々とリードを奪った。
しかし、筑陽学園も余りに早い失点に堅さが取れたのか、その直後から攻め込む回数が幾らか増えて来る。17分にはエース桑原が左からシュートを放ち、22分にはFKのチャンスからFW西野がボレーショットを枠に飛ばしたが、国見GK関の鋭い反応によって防がれてしまう。
すると、このビッグチャンスを最後に、国見が再び流れをがっちりと掴み、手離すことがなくなってしまう。空いたスペースにどんどんボールを送り込み、走力とフィジカル面の強さを前面に出してボールをキープ。簡単に外から中へとつないでは、フィニッシュまで持ち込んで行く。
そして、パワーの違いを知らしめるかのように、遠目からでも普通にゴールを狙い、シュートレンジの広さを相手に植え付けてしまう。
筑陽学園は久光のスピードを活かす場面こそ時折見られたが、桑原、西野の2トップにボールが渡る回数が非常に少なく、西野は頑強な国見DFの前にポスト役ともなれない状態であった。
37分には、中央で平山がヘッドで落としたボールを国見の主将、兵藤が胸でワントラップした後、そのままボレーシュート。これはクロスバーに嫌われたものの、追加点は時間の問題と思われた。
前半ロスタイム。筑陽の桑原が右から仕掛けてFKを得ると、これを自らが狙う。一度は壁に当たり、こぼれて来たボールをフィニッシュにつなげるが、これもGKのセーブにあい、最少得点差のまま前半を折り返す。
「最後の最後まで頑張れ、諦めるな。」と吉浦監督に檄を飛ばされてピッチに戻ってきた筑陽学園のイレブン。その言葉通りに、最初の10分間は攻めの姿勢を押し出して来る。ボールに食らい付き、全員がラインを高くしようと心掛けるが、フィニシュまで辿り着けず、サイドバックの裏のスペースを突き出した国見の反撃にあってしまう。
そして、56分。平山が左に流れた兵藤とのパス交換からGKの出て来た手前で合わせて2点目。2人だけで追加点を挙げてしまう。
これで後が無くなった筑陽学園は、桑原が必死の踏ん張りを見せて敵陣へと切り込み、片原が立て続けに2本のシュートを打つ場面も作る。とはいえ、普段慣れていない45分ハーフの前半を戦った選手たちの疲労は色濃く、段違いの体力を見せる国見について行けなくなる。
身体を張った守りを見せていた原、青柳のセンターバックやMF片原、久光も足が徐々に止まってしまい、気力との戦いも強いられることに。
67分には右からのクロスを平山が頭で落とし、渡辺が左足でゴール。69分にも渡辺は、DFを軽いフェイントでかわして左足を振り抜き、2点目を決めてしまう。4-0、この時点で試合の興味は、勝敗ではなく組に国見のエース平山が更にゴールを挙げられるのかに絞られてしまった。だが、右CKからニアサイドでヘディングシュートを決め、5点目のゴールを記録したのは、DFの益永。
平山が最後の爆発を見せたのは、85分になってからだった。足に来ていた筑陽のDF原を振り切り、右から落ち着いたシュートを対角線に流し込み、この大会9点目となるゴール。
これで平山は、石黒智久(富山一)が持っていた一大会最多得点記録に並んだだけでなく、北嶋秀朗(市立船橋)が持っていた大会通算得記録を塗り替え、通算17ゴール目。同一チームからの4年連続得点王の輩出に、自らも2大会連続得点王と、正に記録ずくめとなる優勝に華を添えた。
これで国見は、夏のインターハイに続く2冠を達成。帝京が2度の両校優勝を経験している中、全て単独で6回目の選手権優勝を果たしている。4年連続の決勝進出は戦後初、過去4年間に限定すると、高校選手権、インターハイ、全日本ユースと主要な3大大会で、計7度優勝。12しかない内の実に6割のタイトルが国見へと渡っている。
平山や兵藤等、3年生の視点で見てみても、1年生の時は全日本ユースと選手権に優勝。2年生では全日本ユースを連覇し、インターハイ、選手権が準優勝。国体では3位となっている。そして最上級生となった今年が、インターハイと選手権で2冠を達成。
過去の誰もが経験したことがない程、タイトルに埋め尽くされた高校生活を送って来た。
負けた筑陽学園の吉浦監督が「1対1の強さ、運動量、すべての面で負けていた。」と語ったように、国見の完成度は群を抜くものであり、その力強さは高校レベルを超越していた。
だが、試合後に平山は「去年の市立船橋のDFラインとやって勝てるか、分からない。」と漏らしている。今年も縦のラインに増嶋、根本、鈴木、カレンとタレントを揃えた市船と対戦していたら、どうだったか。確かにそういう思いもあったのだろうが、チーム全体のスタミナが不足していた市船が、今年の国見から勝利を挙げるのは、非常に難しい作業となったことだろう。
国見の選手は皆、厚い胸板と強靭な足腰を持ち、身体の使い方も巧み。パスの届く距離、シュートを狙える距離でも、他のチームとは数段の差があった。
終わってみれば、5試合で15得点1失点。四中工や広島皆実の健闘は光ったものの、付け入る隙は余りなかったと言っても過言ではない。
高校選手権の歴史を振り返る時、決勝戦のスコアだけをみても、歴代最強チームの一つに挙げられることは間違い無いはず。渡辺、城後らのレギュラーが残る来年も、再び強力なチームとなって優勝旗を返しに来ることは約束されている。
とはいえ、この国見伝統のパワースタイルも、ユース最強と言われたサンフレッチェ広島には通用しなかったことを忘れてはならない。スペースを丹念に突くと言えば聞こえは良いが、体力差に任せて足元にきっちりとつなぐことを疎かにしているとの見方もある。
フィジカル面で優位に立てるのは、高校時代だけ。その後、周りの体力や体格が向上すると、通用しなくなるプレーが多くなって下降線を描くというのは、中学時代に身体が出来てしまう選手にもよくあること。かつての小嶺門下生、MF岩本文昭やGK植村修一(のちトヨタ)のように、選手権で抜群の存在感を見せた選手たちが、大学でサッカーから離れてしまったのも、そうしたスタイルが招いたことなのではないかと勘ぐってしまう。
最後に、今大会の優秀選手を見渡すと、やはり例年のごとく知名度先行といった感が拭えない。ベスト4に入った滝川二、鹿実からは2人だけで、先に負けた市船よりも2人少なく、大量得点で話題をさらった岐阜工からは、MF後藤のみ。巧みなボールのもらい方を見せ、ハットトリックも記録した伊藤は、外れて
しまった。
豊田(星稜)、増田(鵬翔)といったJリーグ内定者もそれほど際立ったプレーを見せた訳ではなく、星稜ならMF白井の方がインパクトのある働きをしていたし、増田も司令塔として十分な活躍はしていない。むしろ、1回戦で敗れたチームの選手を選ぶなら、鵬翔の後に西が丘で涙を流したMF高橋の方が記憶に残るプレーを見せてくれた。
また、話題性では平山に負けていなかったカレンも決定力不足が目立ち、増嶋も登場した2試合のうち1試合は不出来と言ってよいものであった。市船から選ぶとするならMF根本を推したいし、鹿実の3バックをまとめていたDF岩下も外して欲しくはなかった。
他にも、観た限りでは青森山田のGK川本、岐阜工のMF林などが優秀選手に選ばれても不思議ではない活躍を見せてくれた。
多くの優秀なタレントがJユースに流れる時流となって来たが、多くの観客が詰め掛け、メディアの注目も上がるこの大会は、やはり高校年代で一番のビッグイベント。来年も、多くの熱い戦いが繰り広げられる。
1/12(月・祝) 第82回全国高校サッカー選手権決勝
国立競技場
国見 6(1-0/5-0)0 筑陽学園
得点者:川口(12分)、平山(56、85分)、渡辺(67、69分)、益永(82分)
警告:中村、平山
<国見>両チーム
メンバー<筑陽学園>(かっこ内は交代選手)
兵藤 平山 FW 西野 桑原
内藤 渡辺 川口 仁科
城後 中村 MF 久光(川瀬) 片原 松尾
益永 坂上 地崎 DF 阿比留 原 青柳
中野(今井)
関 GK 柳
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GK:熊谷宗洋(札幌一)佐藤優也(市立船橋)関憲太郎(国見)
DF:大河内英樹(青森山田)増嶋竜也(市立船橋)渡辺広大(市立船橋)
樋口昌俊(四日市中央工)河本裕之(滝川二)柳楽智和(立正大淞南)
吉弘充志(広島皆実)青柳雅信(筑陽学園)益永康介(国見)坂上翔(国見)
MF:三沢純一(青森山田)鈴木修人(市立船橋)林俊介(岐阜工)
後藤裕司(岐阜工)瀧原直彬(滝川二)青山敏弘(作陽)桑原剛(筑陽学園)
中村北斗(国見)永田真志(大津)増田誓志(鵬翔)岩元泰佐(鹿児島実)
FW:カレン・ロバート(市立船橋)豊田陽平(星稜)東平大佑(丸岡)
築館秀飛(四日市中央工)辻尾真二(初芝橋本)西野涼(筑陽学園)
兵藤慎剛(国見)平山相太(国見)永嶺貴彦(鹿児島実)
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著者:らいてぃー
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