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2004/01/26掲載
田崎ペルーレ2冠達成
 
すでに四半世紀、第25回目の大会を迎えた全日本女子選手権。
頂上決戦に挑むのは、5年連続の決勝進出で連覇を狙うLリーグの女王、田崎ペルーレに日テレベレーザという昨年と全く同じ顔ぶれ。

前日に行われた準決勝では、田崎がさいたまレイナスを1-0で振切り、
日テレは3-0と伊賀くノ一に快勝した。Lリーグでは安定した強さを見せて初優勝を遂げた田崎だが、今季上位リーグでの日テレ戦では1分1敗。最大のライバルに何とか雪辱を期す気持ちには、強いものがあった。

対する日テレも昨季の決勝戦、今季のLリーグと、いずれも苦汁をなめており、捲土重来の機会を伺っていた。

だが、立ち上がりから猛攻を仕掛ける田崎が、リベンジに燃える日テレを一方的に押し込み、相手に攻撃の糸口さえつかませない。

トップ下の山本や右アウトサイドの土橋を中心に、再三、右から崩しにかかる田崎。エース大谷と鈴木の2トップも、深みをつけた動きを見せて日テレDF陣を混乱させ、左アウトサイドの柳田もゴール前に積極的に進出して行く。後ろでは川上、新甫の両ボランチが積極的に前でボールを奪っては、素早く外へ展開。中にも人数をかけて、敵の反撃を許さない。

されるがままの状態に業を煮やし、日テレは早めの選手交代を行なう。20分、やられ通しだった左サイドバックの須藤を下げて、Lリーグベスト11にも選ばれた中地を投入。果敢な攻め上がりを見せる中地が入ったことで、田崎は右の翼が幾らか大人しくなる。

とはいえ、日テレは攻撃の司令塔となるべき小林が、高い位置でボールを持つことが出来ずに、ボランチの酒井と並んだままになってしまう。
カウンターを仕掛けるにも、起点が深過ぎてすぐに跳ね返され、チャンスらしい場面も作れない。

攻勢の続く田崎は、大谷がゴール右に外れるシュートを放った他、大谷のパスから山本のシュートがクロスバーを叩く。更にもう一度、山本がフィニッシュを試みるが、惜しくもゴール右へ外してしまう。

それでも、31分。田崎は右サイドでFKを得る。これを山本がゴール前に送ると、ファーサイドで待ち構えていたセンターバックの白鳥が、相手DFともつれるようにしながら頭で合わせる。
これが決まって1-0、猛攻を実らせた田崎が先手を奪った。

とはいえ、日テレも黙ってはいられない。37分、日テレは右コーナーキックのチャンスをつかむと、FW山口が速いボールを蹴る。このチャンスをものにしたのは、またもやセンターバック。日テレのCB豊田がニアサイドに飛び込み、見事なヘディングシュートであっという間に同点とする。

それまで、3回くらいしか相手陣内へ攻め込むことの出来なかった日テレだったが、初めてのビッグチャンスを確実にものにして息を吹き返す。
ようやく中盤でダイレクトパスがつながり始め、右MF伊藤の展開力や左MF近賀のキープ力が発揮されるようになる。

前半終了前には、MF近賀が左からDFラインの裏を狙ったクロスを入れ、FW山口が抜け出して絶好のチャンスを迎えるが、肝心のシュートは足にミートせず。ボテボテとなってしまう。

すると、前半のロスタイム。今度は田崎のFW鈴木が、MF山本のヒールを使ったバス交換から倒されて、ペナルティエリアのすぐ外でFKを得る。厚い壁を築く日テレ。キッカーは攻撃の核、山本。
鋭い振りの右足から放たれたボールは、滑らかな弧を描きながらも力強くゴール右上に突き刺さる。2-1。日テレの名手、小野寺が一歩も動けないほどに素晴らしい直接FKが決まって、再び田崎がリードを奪うと、ここで前半の終わりが告げられた。

後半、1点のビハインドを負った日テレは、FWを山口から荒川へチェンジ。ポストワークに長けた荒川が入ることにより、前線でのタメが強化されると、日テレはサイドを使った攻撃が出来るようになり、前半とは一転してペースを引き寄せる。

近くにサポートが入ることでFW大野のスピードが生きて来ると、荒川も外に流れては、後ろの選手たちが上がる時間を稼いで行く。ボランチ酒井や左SB中地も高い位置を取れるようになり、右SB戸崎の攻撃参加も多くなる。

一方、田崎はFW鈴木が当たりに強いところを見せて、中央から強引な突破を見せたりしたが、リードを守ろうとする意識が先に立ち過ぎたのか、全体的に引き気味となってしまう。FW大谷が巧みにマークを外してボールを受けても、前半よりゴールから遠い場面が多く、フィニッシュにも精度を欠いた。右CKから、大谷がドンピシャのタイミングで合わせたヘディングも、バーの上を越えて行く。

お互いに身体を張った攻防が続き、残り時間が減って来ると、1点差を守り切りたい田崎が警告を受けるようになり、攻める日テレ、しのぐ田崎という図式がより鮮明となる。

そして、このままスコアが動くことはないのか、と思われた88分。ドラマは生まれた。日テレMF近賀のパスを受けたFW大野が、右の深い位置から左足でゴール前にクロスを入れる。すると、田崎のDF白鳥がこれをヘッドでクリアしようとしたが、頭の先に当たったボールは、後ろへ流れて行く。頭上を越えようとするボールに、田崎のGK大西も必死に手を伸ばしたが、無情にもゴールに吸い込まれて行き、ネットを揺らしてしまう。

土壇場での同点劇に、狂喜する日テレの選手とベンチ、サポーター。
メインスタンドを埋めた観客からも、一斉に驚きと興奮の声が上がった。

ロスタイムにも日テレは、MF小林の縦パス一本で抜け出したFW大野が、GKと1対1となるチャンスを迎えたが、田崎GK大西が激突をも辞さない勇敢な飛び出しを見せて、延長へ突入する。

前後半ともシュート数では上回っていたものの、完全に流れを失っていた田崎。気を取り直してゴールを奪いに行くと、右サイドの崩しからMF柳田がクロスバーを直撃するシュートを放つなど、互角の展開に建て直して来る。

101分にはエース大谷を諦め、FW渡辺を投入するが、キャプテン川上がDFラインに吸収される時間も増えて、日テレDF戸崎やMF近賀のクロスに対応する。

結局、延長前半はほぼ互角。後半は田崎の地力が日テレを押し込んでいたが、スコアに変動はなくタイムアップ。勝負はPK戦に委ねられた。

先行は田崎。外す者が出ない中、後攻の日テレは、3人目のMF小林が
クロスバーに当ててしまう。更に日テレは、4人目のMF近賀のキックが、右に飛んだGKの手をかすめてポストに当たる。しかし、これはゴール中へと転がって、何とか成功。

そして、田崎の5人目はMF土橋。緊張に包まれた中、しっかりと最後のキックを決めて、2時間を超える熱戦に幕を閉じた。ピッチの選手も、ベンチの人間も肩を組んで一体感を出していた田崎は、一瞬にして腕をほどき、全員が束になって喜びを分かち合う。

田崎の優勝は、2年連続3度目。2000年度の日テレ以来で、クラブ史上初となる2冠を達成し、現在、国内最強のチームであることを改めて証明した。

日テレは、これで最多記録を更新する7度目の準優勝に終わった。
唯一の失敗を起したMF小林は、泣き崩れたまま立ち上がることさえ出来なかった。

普通に決勝戦のMVPを選ぶとすれば、1ゴール1アシストを記録した田崎のMF山本に落ち着くのであろうが、個人的には日テレのMF近賀のプレーに最も目を引かれた。今季のLリーグ新人王を獲った左MFは、キープ力にも優れ、フィジカル面でも強さを発揮。縦への突破力も備えており、鋭い切り返しは度々マーカーを簡単に振切っては、自らのプレーを楽にさせていた。

恐らく、今後は代表で左アウトサイドを務める田崎の山本にとっても、大きなライバルとなるであろうし、五輪予選を控えた日本代表には近賀の成長が大きな収穫となるのではないか。

余談となるが、日テレには活動休止となっているWUSAのアトランタ・ビートから澤穂希が復帰することが決定。既によみうりランドで練習を始めている。この日も会場に姿を見せ、澤に憧れる多くの少女たちからサインや記念写真攻めにあっていた。

来季は、大きな戦力を手にした日テレが、巻き返しを図るのは確実と言えるだろうし、田崎との2強体制も揺るがないことであろう。

2004年1月25日(日) 国立競技場 晴 観衆1,641人
田崎ペルーレ 2(2-1/0-1/0-0/0-0)2 日テレベレーザ
PK5-3
田 崎:山本○ 白鳥○ 鈴木○ 柳田○ 土橋○
日テレ:大野○ 伊藤○ 小林
× 近賀○  

得点者:田崎−白鳥(31分)山本(44分)
日テレ−豊田(37分)大野(88分)
警告:山本(69分) 柳田(83分)

田崎ペルーレ(3-5-2)
GK 大西
DF 磯崎、白鳥、佐野
MF 土橋、川上、新甫、柳田、山本
FW 鈴木、大谷(101分渡辺)

日テレベレーザ(4-4-2)
GK 小野寺
DF 戸崎、四方、豊田、須藤(20分中地)
MF 伊藤、酒井、近賀、小林
FW 山口(46分荒川)、大野

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2003 田崎ペルーレ 1-0 日テレベレーザ
2002 伊賀くノ一 2-1 田崎ペルーレ
2001 日テレベレーザ 2-1 田崎ペルーレ
2000 田崎ペルーレ 0-0(PK4-2) プリマハムくノ一
1999 プリマハムくノ一 1-0 日興證券ドリームレディース
1998 読売西友ベレーザ 1-0 プリマハムくノ一
1997 日興證券ドリームレディース 3-0 読売西友ベレーザ
1996 フジタマーキュリー 3-2 読売西友ベレーザ

著者:らいてぃー 

 
 
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