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| 2004/02/27掲載 |
| 【ゴール・アベレイジ】 |
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現在のサッカー界でリーグ戦の順位を決める方法は、勝点、得失点差、総得点数の順番によってほぼ確立されている。
中には、リーガ・エスパニョーラのように勝点で並んだ場合、当該チーム同士の対戦成績を重視したりするところもある。
また、セリエAでも同勝点の際にはプレーオフを導入しているなどの細かな差はあるが、非常に多くの国で得失点差が順位決定の目安となっていることには変わりない。
しかし、この得失点差という概念。昔から一般化されていたものではない。W杯の歴史を見ても、1954年のスイス大会や1958年のスウェーデン大会において同勝点で並んだ場合には、改めて順位決定戦が行われている。
1954年大会で優勝した西ドイツは、1位通過となってブラジルやウルグアイと対戦することを避けるためにグループリーグでのハンガリー戦をサブのメンバーを中心に戦い、力の落ちるトルコと順位決定戦を行なう道を選んだ。
そして、W杯だけではなく、当然のように各国のリーグ戦においても、得失点差という基軸は普遍的なものではなかった。
サッカーの母国、イングランドで国内リーグが始まったのは19世紀のことで、1988年から。順位決定の方法は単純に勝点によるものであったが、これと同時に用いられていたのが「ゴール・アベレイジ」という考え方。普通に訳せば「平均得点数」ということで、1試合当たりのゴール数なのかと思われるが、単純に各チームが1試合に平均何点獲っていたかを示すものではない。
このゴール・アベレイジの計算方法は、「総得点数÷総失点数」であり、失点に対してどれだけ多くのゴールを奪っていたのかを示すもの。
例えば、ゴール・アベレイジが2.0ということなら、1失点を喫する間に2得点を挙げている計算となる。
単純に引き算で導き出される得失点差に比べ、分かりずらい面もあるが、攻撃と守備のバランスを計る材料として考えたなら、有用な数字であると言えよう。
このゴール・アベレイジに基づいた順位決定方法は、イングランドでは1976年まで行われており、リーグ機構の理事会でアーセナルが得失点差の導入を提案して受け入れられるまで90年近くも続いた。
それだけ長い歴史があれば、現行の方式に照らせば順位が変わってしまう事例も枚挙にいとまが無い。
まず、1923-24年シーズンの優勝チームについて。戴冠となったのは、ハダーズフィールド・タウンであったが、当時の最終成績を見ると、2位のカーディフ・シティと勝点、得失点差は同じ。
当時の事情を知らずにリーグの成績表を見れば、総得点で上回っているカーディフが何故優勝とならないのかと不思議に思うところである。
ところが、ゴール・アベレイジを計算するとハダーズフィールドが1.8。
カーディフは1.7となり、わずかに及ばないことが判明する。
過去、ウェールズのチームがイングランドのリーグで優勝したことは一度もないのだが、今と同じ方式を採用していれば、カーディフが最初のイングランド以外の優勝チームとなっていたはず。
また、これは優勝だけでなく、同様に降格争いにおいても現在とは違った結果を生み出している。
時代による制度の違いと言えばそれまでだが、今の常識に照らすと首をかしげたくなる結果というのは、昔だけに限った話ではない。
Jリーグでも、創設当初は延長戦どころかPK戦まで行なっていたことがそう遠い話ではないこと。制度上は1度もゴールを決めることがなくとも、失点さえしなければ、優勝出来るという不思議なリーグであったのだ。近年も、磐田や清水、柏などが年間の勝点数で1位となりながらも、
年間王者にはなれず。柏に至っては、ステージ優勝さえ経験していない。
いつの時代であっても、その時々のレギュレーションの中で勝つことが求められるのは当然であるが、攻撃と守備が表裏一体となるサッカーというスポーツにおいて、攻守のバランスは特に重視されていると言っても良い。
他の球技をみても、得点と失点のバランスがこれほどまでに成績を左右する例は少ない。プロ野球では、どんなスコアで勝利したかという点に全く気を使う必要はないし、ラグビーでもトライ数を気にかける程度。
上限の点を取り合うテニスやバレーボールといった競技でも、セットを奪った率を計算することはあっても、セットの中でどれだけ失点を減らせたのかが、順位に影響を及ぼすことはない。
こうして点を考えてみると、得点と失点の比率を示したゴール・アベレイジという数字は、サッカーというスポーツの持つ特性をよく表わしたものと言えるだろう。
攻守に明確な区切りがないサッカー。攻撃の機会が平等に与えられることはないが、意図的に守る時間を作ったりもできるスポーツ。自らの意志と力で流れを決められるが、結果が付いて来るとは限らない部分は、どこか人生に似ている。サッカーが世界ナンバーワンの娯楽となったのは、こうした側面があったからこそなのではないか。
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著者:らいてぃー
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