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| 2004/03/11掲載 |
| 【強国となる条件】 |
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アテネ五輪アジア地区最終予選。先週まで行われていたUAEラウンドでは、バーレーンに引き分け、UAE相手にも残り時間が5分となるまでゴールを奪えなかった日本。そんなU23代表を、シドニーやアトランタの世代と比べて落ちると感じたり、危なっかしいチームだという認識を持った人も多いはず。
それでも、勝ち点で上を行かれていた大事なUAE戦で、終盤に2ゴール。期待通りにグループ1位で前半戦を折り返し、日本ラウンドを迎えたことは、決して悪くない結果である。
また、先に始まったドイツW杯一次予選でも、オマーンを相手にロスタイムに決勝ゴールが生まれている。この試合には多くの非難も飛び交っているようだが、ホームゲームでの勝点3という最低限の結果を残したことも、また事実。カテゴリーは違えど、最後の最後で勝利を手繰り寄せる試合が、1ヶ月の間に2度も生まれたことは、決して偶然の産物ではないような気がする。
試合開始直後に生まれるゴールは、よく出会い頭とも言われるが、逆に試合終了間際でのゴールは底力の証明という言い方をされる。
過去、アジアにおける戦いにおいても、幾度となく最後の場面で涙を飲んだことが多かったことを思い返すと、いつの間にか日本にも底力が備わって来たとも言えるのではないだろうか。
例え、それが「アジア限定だ。」という評価をされるにせよ、日本はまだ世界大会における経験を積み始めて10年にしかならない国。「もう駄目か・・」と感じ始めた時間帯で、ゴールが生まれるようになった最近の傾向には、正に隔世の感がする。
ここで、残り時間3分を切ってから奈落の底に突き落とされた90年代の試合をいくつか挙げてみたい。
1992年 バルセロナ五輪予選 韓国戦 0-1(88分
キム・ピョンス)
1993年 W杯米国大会予選 イラク戦 2-2(89分
オムラム)
1994年 広島アジア大会 韓国戦 2-3(89分
ファン・ソンホンPK)
1997年 W杯仏大会予選 韓国戦 1-2(87分
イ・ミンソン)
1997年 W杯仏大会予選 カザフスタン戦
1-1(89分 ズバレフ)
やはり、韓国に苦汁を飲まされて来た経験が最も多いのだが、オムラムのヘッドに日本中が沈黙したイラク戦や加茂監督を更迭に追い込んだズバレフの一撃も鮮烈なものであった。
そして、そのいずれもが日本のサッカーファンに「またか」と感じさせて来たことを、昨日のように覚えている人も少なくないであろう。
しかしながら、反対に試合終了間際のゴールで歓喜をもたらした試合というのは、思い出せるだろうか。延長Vゴールをも含むのであれば、1993年のアジア・アフリカ・カップ、コートジボアール戦や1997年のジョホール・バルでのイラン戦を挙げることも出来る。
とはいえ、延長戦が設定されていない試合において、日本がぎりぎりのところで勝利をつかんだケースとなると、途端に記憶の片隅をつつく必要に迫られる。
条件を満たし、最も印象深いのは、1992年アジア・カップでのイラン戦。
グループリーグ敗退の危機から救うカズの決勝ゴールは、初めてアジアの頂点に駆け上がった日本の勢いを象徴するものであった。
また、価値ある引き分けの試合となれば、そのアジアカップにおける北朝鮮戦で中山が決めたゴールも思い出されるし、1997年の仏W杯予選ではウズベキスタン戦で呂比須が窮地を救ったことも忘れられないシーン。
そうした土壇場でのゴールを奪って行くことは、世界に出て行くための必須条件でもあり、大きな結果を残すための試練とも言えるのではないか。
多かれ少なかれ、サッカーの伝統国には苦しい状況をものにし、逆境を跳ね返す力が備わっており、それを強みとして来ている。
最も有名なのが、「ゲルマン魂」のドイツであろうか。W杯本大会でも数々の劇的な試合を演じており、試合終盤においての粘り強さには、神懸かったものさえ感じさせる。西ドイツ時代の1982年大会では、延長に入ってから2点のビハイントを追いついた準決勝のフランス戦。ルムメニゲやフィッシャーのゴールには、世界中で驚嘆の声が上がった。
1986年のメキシコ大会なら、伏兵モロッコに苦しみながらもマテウスのFKで振切った試合が代表的なものだろう。
こうした土壇場で強さを見せたチームが、大きなインパクトを残して去って行くことはW杯だけを振り返っても、必ずあること。
1994年の米国大会では、準優勝のイタリアが幾度も苦境に立たされた。ナイジェリアには敗戦の一歩手前まで追いつめられ、スペインにも劣勢を強いられたが、その度にロベルト・バッジオがアズーリを暗闇から引き上げた。
1998年の仏大会では、オランダ。アルゼンチン戦では、ベルカンプが芸術的なトラップを見せ、準決勝のブラジル戦でもクライファートが起死回生のヘッドを強烈に叩き込んだ。
更に、誰もが記憶している2002年大会なら、アイルランドがそうした底力を示したチーム。ドイツ戦におけるロビー・キーンのシュートは、魂の一発と形容されたし、スペイン戦でもロスタイムに追いついた精神力が、大きな賞賛を浴びた。
このように、終盤での粘り強さや絶対に諦めない精神力こそが、伝統国の、強国の歴史を形作って来たと言っても過言ではない。それは世界の舞台でも証明されている。こうした条件に照らせば、苦しみながらも結果を出せることは、その国が成長する上での必要な要素と言えよう。
かつては、何故、韓国ばかりが最後にゴールを奪えるのか、何故、日本はいつも最後でゴールを奪われるのかという呪縛に囚われていた。
だが、既にプロリーグが出来て10年が経過した日本にも、ようやく逆の立場となれるだけのメンタリティーや歴史が内包される時代となった。
今後は、日本が相手国に「最後にはやられてしまうのではないか・・」という恐怖を植え付けて行く時代とすべきであろう。初めはアジアレベルだけでも十分。小さな積み重ねが、新たな段階へと導いてくれるのだろうから。
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著者:らいてぃー
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