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| 2004/05/28掲載 |
| 【FCポルト、再び頂点に】 |
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欧州サッカーシーズンのクライマックス。UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦は、ポルトガルのFCポルトがフランスのASモナコFCを3-0で破り、1987年以来17年ぶり2度目となる戴冠を果たした。
ベスト8の顔ぶれが出揃った時、多くの識者はACミランとR・マドリッドの決勝戦を予想した。 しかし、ここで昨年の覇者と一昨年の覇者が同時に姿を消すと、今度はディポルティボ・ラ・コルーニャとチェルシーが勝ち進むとメディアは予想した。近年、他国を圧倒する好成績を残しているスペイン勢力とロシアの石油王が多くのスター選手を掻き集めたチーム。準決勝のカードからして、両チームのサポーターも自分たちがファイナルまで辿り着くことを半ば確信していたのではないだろうか。
それを覆した意外な対決。世界的な名声を持つ選手こそ見当たらないが、決してそのことがレベルを落としめる材料とはならないことを証明した決勝戦であった。
立ち上がりに攻勢をかけたのはモナコ。開始早々に主将ジュリーがDFラインの裏へ抜け出し、ビットール・バイアがエリア外まで飛び出してこれを防ぐ。シセがファーストシュートを放ち、ロテンやイバラも度々良い突破を見せてサイドを使った早い攻めを生み出す。
一方のポルトは、カルロス・アルベルトが元気な姿を見せて切り込み隊長となるが、攻撃は単発的。中盤が縦に伸びた感じで、様子見の姿勢を感じさせる。
ところが23分。大腿部を押さえて動けなくなったジュリーが交代を求め、急遽、プルソが投入される。余りに早い時間でのアクシデント。それも司令塔となる主将を失ったことで、モナコのペースは乱れ始める。
決して全体が前掛かりとはならないものの、コーナーキックも奪うようになったポルトは、じわじわと攻撃の手を強める。
そして、39分。ポルトは左サイドから右に振って後ろに戻したボールをパウロ・フェレイラがクロス。中にいたカルロス・アルベルトは、トラップをミスしたが、ボールはジコスの足に当たって弾む。
浮いたままのボールにコンタクトしたのは、19歳のブラジル人。カルロス・アルベルトの右足ボレーが、鋭い弾道のシュートをゴール右に突き刺し、ポルトが先制する。
モナコは、モリエンテスがGKと1対1の場面を迎えるなど、オフサイドになった場面も含めてチャンスはあったが、張り付くようなポルトのディフェンスに苦しみ、リードされて折り返すことに。
後半、攻勢を仕掛けたいモナコが、縦パスを多用してポルトのDFラインを下げて行く。
ジュリーのような鋭い切り込みはなくとも、代役プルソが身体を張って前を向き、ロテンが何とかモリエンテスにつなげようと奮闘する。
サイドバックの上がりも控えたポルトは、カウンターでの反撃を伺うだけで、決して無理はしない。トップに張るデルレイと中盤の距離も開き、完全に守備的なシフトへ色を強める。
60分には先制ゴールを挙げたカルロス・アルベルトを下げ、もっと低い位置でプレーするアレニチェフを送り出したモウリーニョ監督。カードの切り方によって、ピッチへ意思を伝える。
厚い壁を築くポルトの前に打開策を見出せないデシャン監督は、シセに代えてノンダを投入。前線へ飛び出す武器を増やす。
だが、押し込んでいた中に落とし穴が潜んでいた。
71分、モリエンテスへのファウルをとってもらえなかったモナコを尻目に、デコが一気に相手陣内へ。一度、左にいたアレニチェフへ回したボールは、再びデコの元へ。急いで戻っていたモナコDF陣は急激にスピードを緩めたデコをフリーにしてしまう。数の上では3対3。しかし、余裕を持ってボールを受けたデコは、落ち着いてコースを狙ったフィニッシュ。2-0。ポルトが鮮やかなカウンターから、理想的な追加点を奪った。
残り時間は20分。先に用意していたスキラッチを送り込み、セットプレーでの得点力アップを試みるモナコであったが、すでに流れは決まっていた。
先程と似たように、左サイドからデコが縦パスを出すと、相手に当たったボールがうまい具合にDFの裏へ落ちる。走り込んだアレニチェフ
がバウンドをよく押さえて浮き球に右足でコンタクト。ボールはニアサイドを破ってネットを揺すり、試合を決める3点目となる。
こうなると、あとは時間が過ぎるのを待つだけ。
デルレイとデコを引っ込めて守備要員を増やしたポルトは、安定した守備網を崩されることもなくタイムアップの笛を聞いた。
決して相手をねじ伏せるような力を持つチームではない。代表チームのように細かなパスワークで圧倒的な支配体制を作り上げることもない。
端的に言うならば、ポルトはツボを心得たチーム。
チームがどの方向を向いているのか。そして、自分が今、何をすべきかを心憎いほどに知っており、それを高い次元で遂行できる選手が揃っている。マン・オブ・ザ・マッチに輝いた“マジック・マン”デコを筆頭に、仕事人とでも言うべき味わいのある精鋭たちが、他国のビッグクラブに引けをとらない完成度を誇るチームを構成。勝負への強い息吹をモウリーニョ監督が吹き込んだ。
プロ選手としての経験も無く、通訳としてプロクラブでのキャリアをスタートさせたモウリーニョ監督は、指揮官としてのキャリアが4年に満たない。しかしながら、昨季はUEFA杯を含めた3冠を達成。すでに名将の仲間入りを果たしていた。
今季は残念ながら、カップ戦の決勝で延長の末、宿敵ベンフィカに敗れており、2年連続での3冠を逃したが、欧州最高峰のタイトルを手にしたことで、そんな悔しさも吹き飛んでしまったのではないだろうか。
勝利の瞬間にも硬い表情を崩さず、表彰式の後は写真撮影の最中に首のメダルを外して一人で引き上げる姿には非常な違和感を覚えたが、この試合を最後に退任が決まっていたことと何か関連があるのだろうか。
誰もが夢見るタイトル。それなのに、ビッグイヤーにキスをしていた姿以外は、全くと言ってよいほどに喜びを表現しなかった監督。クラブのフロント、もしくは選手との間に大きな軋轢があったのではないかとも邪推したくなる。昨季のUEFA杯に続く欧州タイトルの獲得。1976、77年にリバプールが達成して以来の快挙だというのに、一体喜びを押し殺す必要がどこにあるのだろうか。
出来れば、翌1978年もチャンピオンズ・カップ連覇を成し遂げた当時のリバプールを追って3年連続の戴冠に挑戦してもらいたいとも思うのだが、活躍した選手・監督にすぐさま大金が積まれる現代では、夢物語なのかもしれない。
デコはバイエルン・ミュンヘンへの移籍が取り沙汰されているし、デルレイやリカルド・カルバーリョも海外への興味を隠そうとしない。
すでにモウリーニョ監督は、プレミアリーグに挑むことが内定しているとされており、今年で最後となる欧州対南米で行われるトヨタカップには、全く違った姿のポルトが来ることなる。
来月には南米王者も決まるが、雪中の激闘を制したチームの伝統が必ずラストに相応しい名勝負を、日本のファンに見せてくれるのではないか。
UEFAチャンピオンズリーグ決勝
2004年5月26日(水)
アレナ・アウフシャルケ
主審:ニールセン
ポルト 3(1-0/2-0)0 モナコ
得点者:カルロス・アルベルト(39分)デコ(71分)アレニチェフ(75分)
| ポルト |
| GK |
ビトール・バイーア |
| DF |
パウロ・フェレイラ、ジョルジュ・コスタ、リカルド・カルバーリョ、
ヌーノ・バレンテ |
| MF |
メンデス、コスチーニャ、マニシェ、デコ(ペドロ・エマヌエル)、
カルロス・アルベルト(アレニチェフ) |
| FW |
デルレイ(マッカーシー) |
| モナコ |
| GK |
ローマ |
| DF |
イバラ、ロドリゲス、ジベ(スキラッチ)、エブラ |
| MF |
シセ、ベルナルディ、ジコス、ジュリー(プルソ)、ロテン |
| FW |
モリエンテス |
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著者:らいてぃー
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