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| 2004/08/12掲載 |
| 【五輪初勝利(日本−スウェーデン)】 |
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1936年、初めて五輪に参加したサッカー日本代表。ベルリンの地で番狂わせと騒がれた勝利を手にした際、相手となったのは、優勝候補のスウェーデンだった。
それから68年。奇しくも女子チームの初勝利は、同じ相手からとなった。新たな扉を開いたのは、またもや荒川。そして、上田監督の的確な
スカウティングも再び陽の目を見て、思惑通りの試合を実現させた。
五輪全競技の中で、トップを切って登場したなでしこジャパン。
だが、ボロスのパンテサリコ競技場で、歴史的な勝利をつかんだことに
驚きの声をあげる人は、もう誰もいない。
序盤こそスウェーデンのスピードに押し込まれる場面もあったが、前半は完全に日本のペース。高い位置からの精力的な守備で前線への供給源を断ち、バイタルエリアに侵入して来る選手には厳しいマークをつける。
早々につかんだCKのチャンス。川上の蹴ったボールに、ニアサイドで待ち構えた荒川がドンピシャのヘッド。これはゴールライン上でスウェーデンのDFにクリアされたが、決定機を先につかんだことで緊張がほぐれて行く。
24分、右サイドの深い位置で得たFK。磯崎がペナルティエリアを目掛けて長いボールを入れると、大谷が手前で合わせて後ろに流す。
DFラインの裏に落ちたボールに反応したのは、3人。前に出てきたGKが処理しきれずにこぼすと、DFと交錯していた荒川が、足を伸ばしてゴールに流し込む。
ボールはゴール右隅へと転がり、日本が貴重な先制点を奪う。
これで自信を付けた日本。続いて、右サイドから荒川がクロスを入れると、大谷が落として飛び出した澤が至近距離からフィニッシュ。だが、右足インサイドにかかったボールは、大きくゴール左にそれて行く。
この後、澤には立て続けにチャンスが訪れる。右サイドを駆け上がった
川上からクロスが入り、ゴール正面でダイビングヘッド。これはGKがファインセーブで弾き出し、こぼれ球を狙った荒川のシュートも右のサイドネットへ。
更にその直後。今度は中盤でボールを受けた小林が、ハーフウェーラインの付近から、右足アウトにかけたロングパスを狙う。
巧みにコントロールされたボールは、CBバック2人の間を抜き、絶妙のスルーパスに。右側から抜け出した澤は、GKと1対1。追加点は確実と思われたが、チップ気味に放ったシュートは、ゴール左へと外れてしまう。天を仰ぐ澤。絶好の決定機を逃し、悔しさがピッチ全体に伝わる。
一方のスウェーデンは、自慢の2トップが裏でボールをもらえず、中盤で
日本の守備網に引っ掛かる。仕方なくミドルシュートで日本ゴールを脅かすも、冷静にプレーする山郷がピンチを感じさせない。
酒井は右だけでなく、中央もカバー。幅広い動きを見せて敵に時間を与えない。宮本もフォアストッパーのごとく、クロスに素早い早く対応。
深い位置から、局面を変えるフィードを安定して送り続ける。
リードして折り返した日本。後半に入ると、先にベンチが動く。
56分、左MFでスタメン出場していた小林を下げ、安藤を投入。
ハイレベルなパスセンスを披露していた小林が、右足の指に痛みを抱えたままだったことと、右に比べて左から深い位置を突くプレーがなかったための交代と思われる。
日本に続いて、スウェーデンも主将アンデルションを下げてショイストームを送り出す。元気な選手を入れて攻め手を増やしたいことは、明白だった。
それでも、日本は簡単に主導権を渡さない。左CKを大谷が直接狙えば、スウェーデンはぎりぎりでクリア。
次は、荒川と澤のベレーザ・コンビでカウンターを仕掛けてフィニッシュ。ループ気味に放たれたシュートは、ゴールネットの上を揺すったものの、突き放すチャンスも少なくなかった。
66分、日本は殊勲の荒川に代えて丸山を送り出し、カウンターの矛先を新鮮にする。なかなか良い形でゴール近くまで辿り着けないスウェーデン。右から切り込んだスベンションがクロスを入れ、リュングベリが良いタイミングでヘディングシュートを試みるが、ゴールの枠をとらえるには至らず。直後に、そのリュングベリも、オークビストと代わってしまう。
日本は押し込まれる時間帯こそ増えたものの、人海戦術で守備を全う。澤も攻撃への中継点となるより、プレスの先鋒役としてワンサイドカットに奔走する。始めこそスピードに対する不安を覗かせた山岸は、時間を経るに従って安定した対応を見せて行く。
丸山、大谷の2トップも、中盤に下がって守備に参加。磯崎や下小鶴のクリアボールに食らいつく。
終盤、攻撃面での持ち味を出せずにいた安藤を下げ、柳田で守備固め。あとは主審の笛を待つだけであった。
結果は最少得点差の1-0。しかし、決定機の数では日本が圧倒しており、もっと点差が開いてもおかしくはなかった試合。
W杯準優勝のスウェーデンと言えども、決して勝てない相手ではないと言い続けて来た上田監督の作戦が見事にはまった試合となった。
GKの不安定性とDFラインの技術的な低さ。ラインの裏に落ちるボールに対するもたつきがあることをスウェーデンの弱点として挙げていた通りに、そこを突いての決勝点。綿密な分析とチームとしての成熟が、頭の中で描いた通りの展開を生み出した。
1996年のアトランタでブラジルを破った時と似通った戦略。とはいえ、敵との実力差は比較にならないほどに接近していた。
個々のパワーでは及ばない分を組織で封じ込め、日本の良い部分を出した緒戦。これでグループリーグ突破は8割方確定し、次戦は1位通過を決める大事な試合となる。
セットプレーキッカーでもある山本が、右足内転筋を痛めて使えない状態にあるのは痛いが、代役となった小林は、視野の広さと卓越した技術で攻撃の起点となっていた。前後半に1本ずつ繰り出した右足アウトでのスルーパスは、相手の急所を一撃で突く鋭いものであったし、深い位置からのサイドチェンジにも冴えが見られた。
右からは、川上が幾度も果敢なオーバーラップを見せて、相手の腰を引かせていたし、大谷の進出鬼没な動きは、パートナーの荒川に多くのチャンスをもたらしていた。
押し込まれた時間帯に中盤がつぶれてしまい、横パスを出すことも出来なくなっていたのは気になったが、局面での数的優位を崩さない運動量と統一された守備意識は、非常に高いものであった。
特に、酒井の出足の良さと粘り腰の守りは秀逸で、DFラインだけではなく、宮本が少しでも散らし役として楽になれるように盾となっていた。
攻撃陣に大柄で身体能力の高い選手を擁するナイジェリアも、日本の執拗なディフェンスには手を焼くこととなろう。
気を抜くことなく、次も勝ちG組3位との対戦を実現して欲しい。
日本が予選の最後に力負けした中国から8点を奪ったドイツは、違う次元にいるチーム。2位での通過では、すぐにドイツとの対戦となり、メダルの夢も一気に遠のいてしまう。
この勝利は、決して金星ではない。幸先良く、予定通りのスタートが切れただけ。本当の勝負はこれからとなる。パラグアイとの緒戦を迎える男子、そして他の競技全体にも明るい希望を指し示したなでしこジャパン。日本の牽引車となるべく戦いを続けてもらいたい。
8月11日(水) E組
パンテサリコ競技場
日本 1(1-0/0-0)0 スウェーデン
得点:荒川(24分)
| 日本 |
| GK |
山郷 |
| DF |
川上、磯崎、下小鶴、山岸 |
| MF |
酒井、宮本、小林(安藤、柳田)、澤 |
| FW |
荒川(丸山)、大谷 |
| サブ: |
小野寺、矢野、大部、山本 |
| スウェーデン |
| GK |
イェンション |
| DF |
ウェストベリ、トーンクビスト、マークルント、ベンション、
オイストベリ |
| MF |
モストローム、アンデション(ショイストーム)、
ショイラン(オルション) |
| FW |
リュングベリ(オークビスト)、スベンション |
| サブ: |
リンドール、ラーション、シェリン、ファガーストローム |
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著者:らいてぃー
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