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| 2004/10/13掲載 |
| 【FIFA100周年公式写真展について】 |
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先月18日より東京・六本木ヒルズの森アートギャラリーにおいてFIFA創設100周年を記念した公式写真展が開催されている。
展示されているのは、サッカーの神様ペレが選んだ119名のトップ選手を著名な写真家が撮影した作品の数々。
選手をアートの対象として取り上げたものであるため、ピッチ上の姿を追いかけたものではなく、動きのない写真がほとんど。
ユニフォームを着せてボールを蹴るポーズをしたものさえ、選手がボールを見ておらず、躍動感を感じることは無い。
一般に見慣れている選手としての表情を期待して行けば、肩透かしを食らったような感に襲われることにもなろう。
被写体となっているのは、ジネディーヌ・ジダンやティエリ・アンリにルート・ファン・ニステルローイ、アンドリー・シェフチェンコなど今をときめくスター選手から、オマール・シボリ、ジャウマ・サントス、エリアス・フィゲロアなど往年の名選手まで多種多様。
ジーコ、リネカー、ストイチコフ、洪明甫のようにJリーグでプレーした選手も見ることが出来る。
特徴としては、ほとんどが近年撮影されたもの。今では見かけなくなったスター選手の近影が拝めるところが挙げられるが、余りにイメージを覆す姿になっている人も少数ではない。
しかし、その描き方には撮る側の個性が色濃く滲んでおり、道化のようなエリック・カントナと普段着でボールと戯れるハベル・サビオラでは、全く違う世界観を感じさせる。
また、チョコレートで描かれたロベルト・カルロスやラウルには感心するしかなく、同じポーズと表情で切り取られたペーター・シュマイケルや中田英寿には、他に並べられた選手との対比が、如実に現れている。
サッカーとアートのコラボレーション。
今ではこうした催しが特別の違和感も無く受け入れられているようだが、この美術展が日本にも足を踏み入れたことは、画期的なことでもある。W杯開催という実績により、世界のサッカーシーンに明白な足跡を残した日本が存在する証明だとも言えよう。
ポートレイトの写真展であれば、その被写体を知らなければ興味の対象とはなりにくい。または、時代背景や生活環境の差異を写し出す人物像でなければ、価値を見い出し難いことも確かであろう。
そこにいるのは、歴史の教科書に出てくるような人物でもなければ、苦難の道を歩む人々でもなく、文化的な背景を感じさせる切り取り方もなされていない。サッカーという限られた世界における歴史的人物。
それを題材とした際に、日本人の興味を惹き付けることは、決して簡単な作業ではなかったが、この10年で可能とされるようになった。
とはいえ、サッカー史における知識量という点においては、浅いものしか持たない日本人にとって、今回の写真展はやさしいものとはなっていない。
誰でも名前を知っているであろうベッカムやロナウドといった選手たちならまだしも、1960〜70年代に活躍した選手では、一体どのような実績
を持つ選手なのかが見えて来ない人も多くなるはず。
生年月日に国籍、所属クラブ程度は基本情報として与えられていたが、どのような選手であるのかを簡単に説明する文章でも付けておいた方が良かったように思える。
例えば、前述のオマール・シボリは、アルゼンチンからイタリアへ渡り、両国で代表選手となったアタッカーで、1961年のバロンドール受賞者。
現在は、古巣ユベントスの南米担当スカウトをしているといった情報を付け加えることくらいは、スペースを取るものでもない。
エリアス・フィゲロアにしても、3年連続南米最優秀選手といった肩書きを補足させれば、初めて耳にした人にもその偉大さが伝わる。
ミッシェル・エイカーズはミア・ハムと並ぶ女子サッカー界の大スターであるものの、日本での知名度はなきに等しい。
また、カルロス・アルベルトが名古屋で活躍したトーレスの父親であることなど、日本人向けの説明文が付随されていても良かったのではないだろうか。
各国を巡回する展示ゆえに、そうした作業が無理だったにしても、少なくとも代表キャップとゴール数。それに獲得タイトル、W杯出場歴などを示した方が親切であり、理解を深める手助けになったはず。
日本におけるサッカーの浸透度を映すように、客層も若い人々に偏っていたが、足を止めるのは現役選手か近年まで活躍していた選手ばかり。
すでに伝説と化した人々が興味を持たれる様子は、余り感じなかった。
800円という入場料も、日本で開かれる一般的な美術展等の水準からすれば安価な部類に入るのであろうが、プロサッカーの歴史がわずかな国で折角こうした機会を作ったのだから、もう少し情報を伝える意識があっても良かったのではないかと思ってしまう。
アートはフレームの中にあり、そこから感じ取ってもらうことが第一義だとしても、聞き覚えも無い選手に視点は合わせずらいもの。
些か勿体無い作りとなった展示である感は、拭えなかった。
会期は今週末、日曜日まで。入館は21時30分までと、遅くに設定されているので、興味のある方は足を運んでみるとよいだろう。
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著者:らいてぃー
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