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| 2004/11/05掲載 |
| 【スポーツ新聞と2007年問題】 |
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一昨日行われたヤマザキ・ナビスコカップ決勝戦。PK戦の末にFC東京が
創設以来初のタイトルを獲得した。
試合の模様はフジテレビで最後の表彰式まで伝えられたが、3大タイトル
の一つであるリーグカップの地位は、未だにかなり低いものとなっている。
TBSが放送権を持っていた時代には地上派での生中継さえなく、1999年
の柏−鹿島戦では延長戦が丸々カットされた。
そして、昨日のスポーツ新聞においても、サッカーが一面を飾ったのは
日刊スポーツと東京中日スポーツの2紙のみ。(首都圏のみ調べ)
スポニチでは楽天のラミレス獲得報道、サンケイは2006年に野球の
W杯が開催されるという話。報知はソフトバンクのダイエー買収問題で、
デイリーに至っては、お約束のように阪神ネタがトップに来ていた。
主要6紙のうち4紙で野球が取り上げられ、地元東京のチームがタイトル
を獲ったことに対する関心は、プロ野球の噂話以下という扱い。
これはJリーグの野球に対する相対的な地位を、よく示しているとも言える
だろう。
今では、朝のTVニュースでも新聞各紙の伝える記事をそのまま報じる
番組が多くなっている。
そのため、スポーツ新聞はスポーツ報道におけるニュースバリューを
端的に表すものとして重宝されている。
要するにスポーツ紙で一面に来た材料が、最も一般の読者に興味を
持たせるものと判断されている訳だが、スポーツ紙におけるサッカーは、
未だに野球の域まで及ぶべくもない状態にある。
これは何もクラブチームに関わることだけではなく、日本代表であっても
同じこと。
先月のW杯一次予選。最大のライバル、オマーンとの一戦が行われた
翌日(日本時間では同日)の紙面を賑わせたのは、鈴木の決勝ゴールでは
なかった。
ほぼ全紙において最も重要なニュースとされたのは、やはり野球絡み。
しかも、純粋なスポーツの話題ではなく、カテゴリーからすれば経済に分類
されることであった。
西武の堤オーナーが有価証券報告書に虚偽の記載があったとして辞任
することと、ダイエーが産業再生機構の活用を決めたことで球団の身売り
が避けられない情勢となったこと。
この2つが、スポーツ新聞の一番大きな見出しを作っていた。
堤オーナーが、西武ライオンズの将来的な保有について不透明な発言を
行った衝撃は、確かに大きいものであろう。
それでも、W杯につながる重要な勝利がトップに来ないことは、今の
スポーツ新聞がサッカーに対しての価値をその程度に見ている証拠でも
ある。
オマーン戦が未明まで食い込んだことを差し引いても、都内の駅に並ぶ
には十分な時間があった。
つまり、時間的制約ではなく、単に価値の優劣を判断した上での扱い。
読者が最も関心を持つであろう内容を、頭に据えたに過ぎない。
スポーツ新聞の見出しをつけるのは、社内に控える整理部の仕事。
だが、どの材料を一面にするのかは、デスクと呼ばれる管理職に権限が
委ねられている。
スポーツ新聞は、野球をナンバーワンスポーツとして育って来た世代を
メインの読者とする。
しかも、一般誌とは違い売上の大半を駅売りが占めている。
購入層も非常に限定的であり、男性が9割以上を占め、その年齢層は
非常に高い。
大学生やフレッシュマンが毎日のようにスポーツ新聞を買うことは少なく、
多くの売上に寄与しているのは、中間管理職以上の世代となる。
要するにスポーツ新聞は「オヤジ」の文化ともなっており、その支持層が
30代以下に大きく偏っているサッカーを取り上げる必要もないのである。
いくら地元であるとは言え、FC東京が一面に来るはずもない。
恐らく、関東以外では、中の面で白黒写真とともに小さく伝えられたのでは
ないだろうか。
だが、今後世代交代が進むにつれてスポーツ新聞にはサッカーの記事が
多くなるのであろうか。
そういう傾向は決して否定できないだろうが、それ以前にスポーツ新聞が
今後もスポーツ報道における中心的役割を維持し続けることが出来るのか。
そこが問題となる気がする。
若い世代の間では携帯電話によるニュース配信がメインとなり、内容に
おいても細分化が図られている現在、野球、サッカー、ゴルフ、相撲と広く
色々なスポーツを扱った上、釣り情報や芸能記事まで網羅した紙媒体を
求める人がどれだけいるのだろう。
主要な読者層がお金を落としていた駅の売店。彼らがここに足を運ばなく
なった時、スポーツ新聞の衰退が急激に始まる可能性は高いのではないか。
「2007年問題」という言葉を聞いたことのある人は、少なくないはず。
団塊の世代が定年年齢を迎える2007年以降、日本の社会構造に大きな
変化が訪れるとされている問題である。
団塊の世代とは、1976年に堺屋太一氏が発表した小説「団塊の世代」に
よって名づけられた言葉。
第二次世界大戦後の1947年から50年に生まれた人々を指し、第一次
ベビーブームと呼ばれた世代である。
統計的に見ても前後の世代に比べて非常に人口が多く、突出した存在と
なっている。
総務省統計局の調査によると、50代後半の人口は男女合わせて958万人。
40代後半の世代が786万人で、30代後半の世代が864万人という数字から
しても100万から200万人の差がある。
これをスポーツ新聞の購入層である男性に限って見ても、50歳代の人口
が939万人に対し、40歳代の人口は790万人と、100万人以上のギャップが
生じている。
この数字から労働力不足が叫ばれたり、企業年金制度が破綻する危惧
を呼び起こしているが、スポーツ新聞が中心となって形成して来た日本の
スポーツ報道も大きな転換を迫られることになろう。
合計特殊出生率が1.29となり、人口増加率は0.11%という時代に入った
日本。既に65歳以上の高齢者人口は20%となっており、10年後には
25%を超えることが確実となっている。
一般紙であっても販売部数に対する危機感は相当なものがあり、日本で
唯一1,000万部を超える発行部数を誇る読売新聞にしても、巨人軍とリンク
しての拡販戦略は立てられない潮流となっている。
一方のスポーツ新聞は、どこも発行部数が200万以下といった程度。
日刊、スポニチ、サンケイは、それぞれ全国で180〜190万部。
デイリーや報知となると、その7割以下の数字にまで落ち込む。
となれば、毎年100万人以上(男性のみ)の団塊の世代が引退すると
試算される中で、スポーツ新聞の危機的状況は一層鮮明になって来る。
発行部数に匹敵するほどの潜在的読者を連続して失う挙句、20歳以上
も歳の離れた第二次ベビーブーム以下の世代は、熱心な購読層とは
なっていない。
これでは、近い将来に紙面作りにおける大幅な変革が要求されることも
当然の帰結。
野球はサッカーとは違い、シーズン中は毎日のように行われているため、
紙面を構成する上でこの上ない楽なコンテンツであり続けて来た。
しかも、現在はアメリカのメジャーリーグでも多くの日本人選手が活躍し、
数多く話題をさらっている。
時差があるため、朝刊型の紙面には大きなタイムラグが生じてしまうが、
フジやゲンダイなどの夕刊紙において、今年最も多く見出しとなったのは、
イチローで間違いないだろう。
それでも、野球偏重で育まれて来たこれまでのあり方は、転換点に
来ているはず。
情報の氾濫により、個人の嗜好が多様化した社会の中で、誰もが語れる
スポーツという地位を得ることは、非常な困難を極める。
五輪やW杯というイベントでは国民の大多数が注目度を高めてくれるが、
日常的に関心を引く事象は、細分化している。
近年は「地方の時代」になる叫ばれて久しいが、大都市に住む人ほど
地域に対するアイデンティティーを持つことが難しく、身近な情報に餓えて
いるという話も聞く。
時代の流れは、より自らに関わりが深いものへとシフトしている。
新潟の人々にとっては、楽天や浦和の動向よりも反町監督の去就が
大事なニュース。
同様に北海道では、日本ハムやコンサドーレの話題がニュースバリュー
として最大公約数を束ねる。
それならば、北海道には道新スポーツがあり、福岡にも西日本スポーツ
や九州スポーツがあるように、スポーツ新聞も更なる地域重視の姿勢を
打ち出す必要があるのではないか。
埼玉県内の駅に置くのは、常に浦和や大宮、西武を軸とした構成に。
総武線沿線であれば、市原や千葉ロッテ、常磐線なら柏や鹿島重視と
いった形で特色を出すことも不可能ではないはず。
サッカーは土日の分散開催をカウントしても週3回が良いところ。
週の大半は、メインとなるイベントがないスポーツである。
週の半ばにチャンピオンズ・リーグなど重要度の高い試合が行われる
海外であれば、紙面も作りやすいのであろうが、Jリーグを取り巻く環境は
そうなっていない。
地域密着を理念として掲げるが故に、広い地域で興味の対象となりうる
チームが存在しないこともサッカーの扱いを小さくする要因。
全体のパイが縮小することは分かっている。だからこそ、それぞれの
地域に目を配った方向へ向かうことが重要となって来るはず。
実際、デイリースポーツは、阪神ファンご用達の新聞として確固たる地位
を築いている。
ただ、寝ても冷めてもプロ野球がメインディッシュとなる時代は、終焉に
近づいている。
TV桟敷で歓声を上げる多くの人々に支えられる野球と、スタジアムに
足を運ぶことに価値観を見出すJリーグ世代では、情報収集の仕方も
大きく異なる。
スポーツ新聞の戦略自体が、「地域密着」というJリーグの理念に追随
せざるを得ない時代も、すぐそこまで来ているのではないだろうか。
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著者:らいてぃー
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