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| 2004/11/26掲載 |
| 【人工芝でのサッカー】 |
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先ごろ、欧州サッカー連盟(UEFA)が来季から人工芝のピッチで公式戦
を開催することを承認した。
今後はW杯予選や、欧州チャンピオンズリーグなどの試合においても、
人工芝のスタジアムで行われることが珍しくなくなる時代となりそうである。
公式戦の開催を天然芝に限って来た中、今回の決定に至ったのは、
人工芝の品質向上が最大の理由。
かつては芝が寝てしまうと元に戻らないとか、スライディングをすると
火傷が出来てしまうなどの問題点が多く存在したが、昨年フィンランドで
行われたU17世界選手権で採用された最新鋭の人工芝「モンドターフ」が
これらの課題をクリアした。
火傷の原因となる摩擦を起こす係数を大幅に緩和させた上、土に近い
衝撃の吸収力を実現し、怪我をしずらい人工芝を実現。
FIFAのお墨付きが出たことで、欧州における全般的な解禁につながった。
人工芝は、天然芝の育成が困難となる寒冷地で多く導入されており、
既にUEFAは、数年前から幾つかのスタジアムで実験的に新しい人工芝を
敷設して、様々な検証を行ってきた。
今季よりノルウェー、スウェーデン、フィンランドのスカンジナビア3カ国が
スカジナビア・リーグを発足させているが、そこでも人工芝のスタジアムは
重要な位置付けをされている。
スカジナビア・リーグは、長いウインターブレイクを必要とする北欧諸国が
欧州の主要国とはシーズンが異なる点を穴埋めし、地域全体でのレベル
アップを目的として設立されたのだが、積雪の多い地域や常緑の芝が
育たない極寒の地を多く含むため、人工芝の導入が死活事項であった。
こうした問題は、北欧だけでなくロシアやバルト三国にも当てはまること。
将来的な欧州サッカー全体の繁栄を考え、UEFAは人工芝のピッチが
時代に沿うものとなることを推進して行くのではないだろうか。
ただ、UEFAが許可したとはいえ、それは各国の試合運営規定を脅かす
ものではない。
実際、人口芝のグラウンドはプレミアリーグやスコットランドリーグでは
使用が明確に禁止されている(プレミアリーグ規則第14条)。
というのも、1981年にQPRが35万ポンドを掛けてロフタス・ロードに人工芝
を導入した後、オールダム、ルートン、プレストン・ノースエンドなどがこれに
続いた。
冬季にはぬかるみがひどく、芝の痛みが激しくなることから、当初は
人口芝のピッチも歓迎されたが、試合のスタイルが著しく変わってしまう
ことがファンの不評を買い、プレーする選手からは膝の痛みを訴える者が
続出するなど、医学的見地からも適当ではないという結論に至り、禁止が
明文化されたのだった。
一方、いくら公式戦での使用が認められていない国でも、練習場としては
何の咎めも受けない。
アーセナルやFCバルセロナではモンドターフを敷設した練習場も導入
済みであり、Jリーグでも東京Vが古くから人工芝のピッチで練習していた。
現在では、前橋育英や桐蔭学園といった高校サッカーの強豪校にも
人工芝のピッチが存在するため、決して珍しい存在ではなくなっている。
かつては、人工芝の上でのサッカーが、まるで違うスポーツの趣を生んで
しまうことは常識でもあった。
1989年にマンチェスター・Uとエバートンが同時に来日した際、日本代表が
マンチェスター・Uと戦ったのは、神宮球場の人口芝の上。
双方とも勝手の違うピッチにおっかなびっくりという意識が露わとなり、
まるで面白みのないゲームになったことを記憶している。
それでも、国際試合であれば、そんなことも言ってはいられない。
1985年、W杯メキシコ大会の予選で北朝鮮と対戦した日本は、平譲の
金日成スタジアムで人工芝専用のスパイクを履いて、貴重な勝ち点を
持ち帰った。
TV中継もない試合。後日、専門誌に掲載された写真からは、黒一色の
大観衆の中で弾むボールに苦労しながらも北朝鮮の猛攻に耐えた様子が
痛いほどに伝わってきた。
今後も技術革新は進み、多くの国で人工芝のピッチが誕生するのだろう。
だが、芝がめくれ上がり土が顔を覗かせても、それがサッカーというもの。
ここは転がる易いピッチだとか、ここは引っかかりを感じるというような個性
がスタジアムから消えては寂しい。
人工芝はあくまでも耐久性を重視する練習場や、気候条件の厳しい地域
に限られたものであって欲しい。
雨でも中止されず、ピッチの大きさにも幅のある規定となっている
スポーツには、不確定な要素を内包しているからこそ享受している魅力
が確かにある。
人工芝がバリアフリーとなり得ても、標準化されることは望まない人が
多いのではないだろうか。
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著者:らいてぃー
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