■Mail Magazine■

フットボール・コラム

柏レイソル
ニュース・コラム

Reading Top

HOME

2000/02/07掲載
ISLに見るサッカー界    
 
1月25日、電通がISLとW杯の国内ライセンスの独占契約について合意した。
ISLはアディダスと電通が作ったスポーツマーケティングの会社であり、FIFAとはW杯に関する全てのマーケティング事業を手がける契約を結んでいる。

このISLという会社が設立された背景に、アベランジェ前FIFA会長の商業路線やアディダスの拡販戦略があったことは周知の事実だが、われわれ個々のファンにとっては、忌み嫌うべき一面も持ちあわせていることは否めない。 その負の面で最たるものが、仏W杯で多くの日本人が被害に遭ったチケット問題である。 
裏ルートへ流れた大量のチケットの中にも、ISLのものがかなり多かったということは新聞紙上などで報道されていた通り。

わたし自身、大会中現地でダフ屋と交渉していて気付いたのだが、ダフ屋の持っていたチケットにISLと印刷されたものが何と多かったことか。
確かに、フランス大会では、市民ダフ屋が数多く出没し、法外な値段を恐る恐る吹っかけているような輩も目についたが、彼等の持つチケットの多くは、地元の協会の名前や個人名が印刷されたりしていた。

しかし、明らかにその道のプロと分かる者が大量に握っていたチケットの中には、かなりの確立でISLから流れたものが混じっていた。実際、わたしはフランス観戦した7試合のうち5試合のチケットをダフ屋から仕入れたのだが、そのうち2枚がISLから流れて来たものだった。わたしには、ISLがチケットの販売を通じて利益を挙げることも目的とする投機的な会社である面も持ちあわせているのではないか
という疑問が拭えなかった。

チケットをただのビジネス用の小道具としか見ていない者たちが大量のチケットを要求し、挙句の果ては個人的な小遣い稼ぎのためにチケットを高値で闇ルートへ流す。
多くのスポンサーがそうだとは言わないが、そういうことをする人がいなくならない限り、一般のファンがチケットを手にする確立は低くなるばかりである。

マーケティング事業の中で、スポンサーに対する配慮やW杯という大会自体が金を生み出すためにはどうすべきかを考える必要があるのは、ファンとしても理解できる部分はあろう。
しかし、本当に観たい人のもとにチケットが渡らず、選手の名前さえも知らず、たまたま役職についていたスポンサー企業関連の人々がスタンドに座ることには納得できない人も多いと思う。 やはり1枚、1枚のチケットは、個人が懐を痛め、電話をかけたり、並んだりという(簡単ではないかもしれない)努力の結果に得られるものであってほしい。

例え、最小限の必要悪を認めたとしても、ファンという顧客を一番に考えるべきではないだろうか。 サッカーが大きな市場を持つビジネスとして成り立つのは、多くの純粋なファンに支えれているからであり、スポーツを愛する人の情熱が自然と金を生み出しているに過ぎないことを認識して欲しいのだ。

昨今、多くの企業が顧客満足度を高めるために一生懸命となり、痛みを伴う改革を行なってきている。 マクドナルドがハンバーガーの価格破壊を始めた時、価格に満足という100%を目指すのではなく、また食べたいと思わせる120%の満足を得るために100円バーガーの価格を更に65円にまで引き下げたというのは有名な話である。

果たして、今のサッカー界は顧客満足度を高める努力をしているといえるのだろうか。
FIFAもサッカーに関わる企業も大きな利益を求めるばかりで、プロスポーツの主役が誰なのかを忘れてはいないだろうか。 選手のことを無視した日程や試合数の増加。

ファンのふところをむしり取るだけの価格設定。 多くの情報を一方的にたれ流すことによる一般大衆へのイメージや感覚の操作。

こうした本末転倒の状況は、日本経済が大きな後遺症にあえいでいるように、サッカー界にもバブルとして大きなツケを残すことにもならないだろうか。
サッカー界を本当に支えているのは、一人一人は小さな存在でしかないファンがいるからだと、認識された上でサッカー市場が成長していくことを望んでやまない。

 

著者:らいてぃー


ご意見・ご要望がございましたら下記アドレスまでお寄せ下さい。
soccer_days@excite.co.jp