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2003/11/06掲載
【得点力不足の要因】
 
2ndステージも第11節を終え、3勝6分2敗という成績で10位にいる柏。得点も失点も9という数字が物語る通り、勝ちきれず守り切れずといった試合が多く、それが現在まで最も引き分けが多いチームとなっている原因である。

いまだにリーグ最少失点を続けているように、ある程度は守り切ること
が出来るものの、得点力不足はかなり深刻。単純に計算しても、1試合に1点も奪えない状態では、勝てと言う方が無理な注文なのかもしれない。

では、何故、今の柏がゴールを奪えないのか。端的に言えば、ストライカー不在。これで全てを片づけることもできるが、今のチームには、数多くのチャンスを作り出してストライカー不在を補う努力も余り見えて来ない。チームとして誰に点を獲らせたいのかも、まるで伝わって来ない。となれば、一体どうやってゴールを奪うのだろうか。

今季の柏がFWの軸に据えているのは、10ゴールを挙げている玉田。
完全なレギュラーになったのが今季からという点を考えれば、数字自体
は特段に悪い訳でもない。だが、玉田はそのプレースタイルからして、純粋なストライカーというタイプではない。最大の持ち味は、その瞬発力を生かした突破であり、どちらかといえばチャンス・メイカーとなるタイプ。決してゴール前での優れた嗅覚を備える選手とは言い難い。

前に向かう意識が高い点は、大きな武器となっているが、人を使うことを苦手とするようで、周りが見えていない場面も多く感じられる。
自分を使ってもらうことに関しては過敏であっても、人を使うべき場面で
そのチャンスを逃すことも少なくない。過去の言動からしても天狗になり易い部分が強く感じられ、そのためか、自分の思い通りにプレーできないとフォームを崩す傾向も強い。

その上、宇野沢やジュシエ、矢野貴といったFWのパートナーとなるべき
選手たちとのコンビネーションも良いとは言えない。コミニュケーション不足といえばそれまでだが、自分の特長を出そうとやっきになる余りに、一人よがりのプレーに走りがちなことも多い。
誰とトップを組んでも良い意志疎通を見せない点は、代表に呼ばれない一因ともなっている。

また、好調時にはキレのあるプレーを見せるジュシエも、まだまだFWの
軸となるにはプレーが軽く、不用意なキープで相手にカウンターの機会を献上することも多い。来日当初にはがむしゃらさも見えていたが、今ではマルシオが乗り移ったかのように、倒れては審判にアピールする場面ばかりが増えている。

そして、ポストワークや裏への飛び出しなどに精力的な働きをしている宇野沢は、いまだ無得点。出場時間がそれほど多くないとはいえ、フィニッシュの場面に顔を出せていないことも事実であり、そのためゴールにつながるようなパスを余り受けられないでいる。
くさびとなった後で、一気にゴールへ突き進むような迫力が出て来ると、相手にも脅威を与えることが出来るのではないか。

オールラウンダー的な働きをする宇野沢は別にしても、玉田とジュシエはトップに並べても似たような動きで互いを消し合うことも少なくなく、持ち味がうまく出ているとは言えない状態にある。玉田、宇野沢に見られるように、個として見た場合のプレーは決して悪くないのに、ゴールにつながらない。

これは柏というチームがどのようにゴールへの道筋をつけたいのか、という部分での意識が統一されていないことと、攻撃陣の個々の能力にも問題があると言わざるを得ない。特に、攻撃面において、試合の中で司令塔となれる存在がいないことは、大きなマイナス材料となっている。

今季のチームは、その多くをリカルジーニョ一人の能力に依存する。
緩急の使い分け、左右や上下に渡るバランスの取り方、攻撃におけるイメージの形成。特にリカルジーニョを2列目とボランチの中央に取り込んだファースト・ステージのシステムは、リカルジーニョのために存在したと言ってもよいものであった。

しかし、それが余りに早く奏功したため、そして、ポイントが中央の一ヶ所に限定されていたため、リカルジーニョさえ抑えれば、柏の機能は停止するということも、すぐに悟られてしまった。

相手が徹底的にリカルジーニョへのパスを分断し、厳しいマークをつけることで、チームの芯となっていた部分を壊される。ファースト・ステージの柏は、簡単に羅針盤を失い、崩壊してしまった。

その教訓を踏まえ、セカンド・ステージからはリカルジーニョを2列目に置く形を何試合か採用してきたが、これも劇的な効果を生むまでには至らなかった。もともと、リカルジーニョはボランチの選手。前所属のクルゼイロでは、中盤の汗かき役として頭角を現した選手であり、どちらかといえば守備面での比重が高いプレーをしていた。
トヨタカップで来日した際も、攻撃の指揮を執っていたのはペルー代表のMFパラシオスであり、リカルジーニョは攻守のつなぎ役とはなっても、
ゴールのイメージを描くプロデューサーではなかった。

しかも、リカルジーニョは自ら仕掛けることも出来るタイプではあるが、2列目の選手としてゴール前に飛び込んで行くダイナミズムには欠ける。こうした点からも、今の柏が攻撃を仕掛けた際にゴール前での厚みを持てないのは当然のことであろう。この2試合で代役として起用された谷澤は、よりゴール近い位置で仕事をするタイプと言えるが、フィジカル面や視野の広さにおいても、まだ頭から使える状態にはない。

となれば、自然と他にどこで攻撃のポイントを作るのかという問題に突き当たる。セカンド・ステージに後半に入って大きな成長を見せている永田のフィードも一つの武器となろうが、最も大事なのはやはり西野・ペリマン路線で築いてきたアウトサイドの有効活用ではないだろうか。

両アウトサイドが高い位置を保つことで起点を外に広げ、敵のDFに横を向かせる。そして、中央から飛び込む選手に裏を取り易くさせるというのは、攻撃の王道とも呼ばれる形。以前は、平山が入れたクロスに渡辺光が、飛び込むという場面も幾度となく見られた。だが、このパターンもマルコ・アウレリオ監督が封印してしまい、4バック採用時に渡辺光をDF中央のカバーに充てていた形を今も継承させている。

今では右の深い位置に入って来るのは玉田ばかりであり、渡辺光はそれほど前に出てこない。また、左の平山にしても、2人のボランチと同じラインにいることが多く、縦のスペースにトップの選手を走らせるボールを入れるだけで、自らが使われて中と外に切り込む場面を見かけなくなった。

これにより、得意の弧を描くクロスはめっきりとその数を減らしてしまい、本人のパフォーマンス自体も一向に上向きとなって来ない。
確かに、今のFW陣には点で合わせるクロスボールを入れても、それを必要するタイプがいないのも事実。とはいえ、ファースト・ステージでは生命線のようになっていた左サイドが停滞したのは、5バックに近い形でスタートさせる監督の戦術にも原因はあろう。

マルコ・アウレリオ監督以前のシステムでは、両アウトサイドがボランチからのパスを前で受けることを前提とした位置取りを要求していたが、今では3バックの外に出来るスペースを埋めることを第一義に考える形
となっている。

<西野・ペリマン型>
加藤 北嶋
 平山   大野   渡辺光 
下平 明神


<マルコ・アウレリオ型>
玉田 宇野沢
   リカルジーニョ   
 平山    萩村   明神   渡辺光 

距離にして3〜5メートルは後ろのポジションを与えられたことで、アウトサイドが前に出て来るにはかなり厳しい状態となっているのは明白。

しかも、4バックの時には、左サイドのカバーリングを下平が受け持ち、平山を前に押し上げるポンプとなる動きを忠実に行なっていたのだが、萩村にはDFラインの前でストッパーとなる役割が与えられているため、今の平山は思い切って出て行くことが出来ない。

右サイドでは事情こそ違うものの、渡辺光にはDFラインのケアを求め、敵のクロスボールに対し、常に落下点の近くに入らせる環境が右からの翼を奪うことになっている。

こうした守備偏重の姿勢が、ここまでリーグ最少失点を誇るDFの源であり、逆に、1試合1点も奪えない貧弱な攻撃力の要因ともなっているのではないか。

攻撃力を上昇させることに自信が無いから、守備を固める。それは間違った考えではないだろう。しかし、セカンドステージだけで6つの引き分け。単純に計算しても、勝ち切れずに失った勝点は12となり、4敗に等しい計算となる。

上位陣がもたついていた時期はまだ救われたが、気付いてみれば、順位も2桁まで落ち込んでいる。ホームゲームに足を運んでも、ゴールシーンさえ訪れないチームに観客が魅力を感じるはずもない。

マルコ・アウレリオ監督は、相手の策を封じることに頭を働かせることができても、日本人選手に攻撃のアイディアを具現化するための策を与えることができる監督ではないのだろう。
ブラジルとは選手が育つ環境も異なるし、ゴール前での冷静さという面
では大きく劣ることも明らかなのに、それを補うための明確な役割分担や密度の高い反復練習が行われていると言えるのか。
試合を観ている限りでは、チームが一つの有機物となってゴールへの道筋を描けているとは思えない人がほとんどであろう。

リ・スタートからの失点が多い反面、リ・スタートを活かしたゴールは少ないことからも、そうした弱点が浮き彫りにされている。

残りわずかとなった今季、チームは正しい方向に進んでいるのか。
今一度、自分の眼で検証してみては如何だろうか。


著者:らいてぃー 

 
 
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